雫の心霊体験記 追体験 火刑 | アラフォー霊能者 滝沢洋一の備忘録

アラフォー霊能者 滝沢洋一の備忘録

リラクゼーションサロン『竜の棲む家』オーナーセラピスト兼霊能者です。
鑑定歴は二十年以上、年間数百人以上の方を鑑定して予約サイトCoubicでは5.0の口コミ評価を200以上頂いています。


 
火が、火が、足元から・・・いやあああ!!
 
「また面倒くさい・・・・」
寝ていると死者の思いが流れこんで追体験をすることはよくある。
それはもう産まれた時からのことだから今更なんとも思わない。
そんなものが十年以上も続けば気にするようなことはなくなるし、気にしたことでどうしようもない。
ただ睡眠の邪魔をされるのはやめて欲しい。
それくらいにしか思わない。
「行きますか?」
絹のように滑らかで白い体毛をした二尾の稲荷がそっと寄り添ってくれていた。
彼とはもうどれくらい長い付き合いだろう?
忘れてしまった。
「仕方ないでしょう、行って来るよ・・・また徹夜か?」
「そうはならないでしょう。
道中、お気をつけて」
 
 
気配を探していくとそれなのに距離があった。
幽霊にしてみれば時間と距離の概念は全くないから、生きている者からすれば長距離であったとしてもなんら関係がない。
(注:死んだ者は時間の概念がなくなる。数百年前の出来事でもついさっきあった事になる。
また、距離の概念もなくなる。
東京~九州の距離があってもほんの僅かな距離でしかない)
「(場所は)京都か?」
東京の自宅から京都に移動するとなると中学生にはまず無理だけど、幽霊になったら距離は関係ない。
ほんの少しだ。
「さて、いくか」
霊道(幽霊が通る道、妖怪や神仏なども結構通る)を通っていくと意外なところだった。
「河原か?」
河原に仕切りがしてあり、木の棒を持った役人らしき男たちが見物人たちを押し留めていた。
みんなちょんまげをしている。
着ているものはつぎはぎの古着を着ている者やそうでない者など、多種多様だった。
大勢の見物人たちが押すな押すなで見守る中、磔刑用の柱と薪が堆く積まれていく。
「いつの時代の出来事なんだか」
現代人の感覚からすれば野蛮で残酷な処刑になる、生きたまま火あぶりにされる火刑の準備がテキパキと行われていた。
荷物運搬用の馬にくくりつけられた薪や藁、その他ぼろきれやなんだかよくわからないもの(着火用か?)が降ろされて用意されている。
その中を手を後ろ手に縛られた女がいかにも役人らしき男と下働きらしき男二人に連れられて歩いてきた。
役人らしき男が罪状を読み上げると女が発狂したかのように喚き出した。
やっていない、それは私ではない、私はそんなことはしていない。
それにお構いなしに役人らしき男は罪状が書かれた紙を平然と読み上げていく。
「そうよ、私はやっていないわ」
「・・・・」
女の幽霊が傍に来た。
結上げていた髪は乱れて頬は爛れ、顔中に黒々とした焦げ跡が点々としていた。
「『私は』やっていないのに、罪状と称して罪を突き付けられて焼かれたわ」
「あっそ」
あっさりと、冷たく言い切った。
悪霊化する寸前までいった幽霊相手に同情することはこちらが危険極まりないことを身をもって良く知っていた。
もしそうでなかったとしても相手が何をするのかわからないから下手な同情はしない。
「私は生きながらに焼かれたわ。
焼かれて焼けただれて身体には蛆が湧いて、そのままに放置させさられて、熱に苦しんでようやく死んだわ。
村人の誰一人として私のことを助けようとはしなかったわ」
「だからなんだ?
それだけのことをお前はしただけにすぎないだろ?」
「あの時に雨が降って火あぶりが終わったときには本当に助かった、竜神様が助けてくれたと思ったけど、それからが生き地獄だった。
焼かれてそのままにされて蛆がわき、身体が腐っていくままに死ぬしかなかった。
こんな風に」
言うと、女の左腕が『ボトリ』と音を立てて落ちた。
黒く焼けただれて焦げた臭いがするかと思いきや、意外なことに無臭だった。
そのかわり痛みが走った。
「あのまま死んだ方がよかったわ・・・・。
誰からも気にされることなく、助けてくれるわけでもない日々は辛かったわ」
「だからなんだ?
子供を殺し、親を殺し、金品を奪い続けた者に誰も同情することはなかろうよ」
スッと、目が鋭くり、気配が冷たくなった。
『カチリ』と鞘から刀を抜く音がした。
「それでも助けて欲しかったわ・・・。
私のことを見捨てないで欲しかったわ」
「助けた者はいたはずだが?」
その目を向けられた者の背筋がゾッとするほど冷たい目で女を見た。
「その者がいまお前を迎えに来ているぞ?
それでもまだ火炙りの刑に処せられたことにこだわるようならなんのことはない、斬ってやるから消滅するがいいさ」
「・・・・酷いことを言うわね」
眼球がなくなり、頬が黒焦げになった。
生前に着ていた衣服が焼け焦げてボロボロとなり、女の身体から落ちていった。
「こんな状態になった女子に慰めの一つも言わないなんて・・・・。
優しさの欠片もない人ね・・・」
「優しさの欠片もないのならすでに斬っていたさ」
あえて待っていたんだろうが。
「優しいのか優しくないのかわからない人ね・・・・いいわ、この際だからもう斬り殺してくれない?
もう苦しむのはたくさん!
あれからもう何百年と過ぎているのよ!
それでもまだ苦しむのなんてもう嫌!終わらせてよ!」
慟哭する様子を一切の感情をみせずに見ていた。
「・・・・その望み、叶えてやろう」
剣光が一閃し、漆黒の闇が包み込んだ。
 
 
「・・・・お疲れ様でした」
「やめて欲しいよ、面倒くさいし睡眠妨害だよ」
「あなたらしいですね」
錫杖を手に持ち、使い古された袈裟を着た存在が苦笑いを浮かべた。
「ですがあなたでなければあの者は救うことはできなかったでしょう。
怨念に捕らわれて苦しみ続けてきたあの者の苦痛と苦悩を終わらせることはできなかったでしょう」
「かといってなあ・・・・あれはやめて欲しいぜ、こっちからすれば良い目の毒だ」
彼が一瞥した先にはお互いを固く抱き締め合った男女がいた。
女の方は泣きながら男にしがみつくようにして抱き締めていた。
男の方も女のことを深く慈しむように抱き締めていた。
「数百年ぶりに出会えることができた者達です、この程度のことは大目に見てあげてはいかがでしょうか?」
「やれやれ、彼女募集中の中学生には厳しいぜ」
「あなたもあのような女性を探しては如何ですか?」
にっこりと笑った。
「やめておくよ、そんなガラではないさ」
肩に担ぐように持っていた、漆黒の刀を鞘の中へと納めた。
その際に相手が厳しい表情を浮かべたことを見逃さなかった。
「神剣にして魔剣、全ての魔を喰らうコレは地蔵菩薩であっても駄目か?」
「・・・・わざわざ抜いて向けないで下さい」
恐ろしいものを見るかのように微かに後ずさった。
「そんなに心配してなくても大丈夫だよ、それにしてもさあ・・・・目の毒だよなぁ!」
呆れたように言う彼の視線の先には火傷の痕や黒焦げになった肌が綺麗になくなった、艶やかな黒く長い髪を持つ女と、その女を優しく抱き締める男がいた。
「数百年ぶりに会えた者達です。
多少のことは大目に見てあげてはくれませんか?」
穏やかな笑みを浮かべて二人のことを見守っていた。
「じゃあここから先のことはお任せするよ。
帰って寝るよ・・・・お休みなさい」
照れ隠しですね・・・という声が聞こえた気がした。

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