現在、合同会社の設立が前年比で3割増となっているようです。
普通、会社といえば株式会社が頭に浮かびますが、他にも合名会社、合資会社、合同会社があります。
ちなみに今でも株式会社の次によく聞く有限会社は、すでに新設することはできず、法律上は株式会社とみなされます。
合同会社は、上記の他の会社形態と違い、平成18年にできた会社法により新たに生まれました。
ということで、知名度的にはライバルの株式会社に比べまだまだですが、徐々に設立件数が増えているのには、わけがあります。
理由その1は、柔軟な期間設計が可能だという点です。機関設計???
合同会社は、資金を出す者(出資者)と経営する人がイコールであるため、株式会社では必ず必要な株主総会も必要ありません。
ということは、内部での意思決定もスムーズで、迅速な対応が可能となります。
要するにシンプルな組織であるので、意思決定が早く、スピード感のある経営につなげられるということです。
大きな既存株式会社が出資して、新規事業を立ち上げ、できる限り早くその事業を軌道に乗せたい場合などに有効となります。
理由その2は、自由な利益配分が可能という点です。
株式会社は、利益の配分は原則出資比率に応じて行うことになりますが、合同会社では、その割合を事由に定めておくことができます。
資金力はあるが、ノウハウがない者と、資金力はないが、ノウハウはある者が協同で事業を立ち上げる場合などに活用できるでしょう。
理由その3は、設立や運営の費用が安いという点です。
株式会社の設立には、定款認証で5万円、登記の登録免許税が最低15万円かかります。
一方合同会社では、定款は作成する必要があるのですが、公証役場での認証が不要なため、定款認証費用がかかりません。
また、登記の際の登録免許税も最低6万円ですので、株式会社に比べ、かなり割安に法人設立が可能です。
設立後も、株式会社と異なり、役員にあたる業務執行社員の任期の上限はありませんし、決算公告義務もありませんので、任期を定めなければ、株式会社では役員の就退任時に必要な役員変更登記の費用や、毎年発生する決算公告の官報掲載料金なども発生しません。
これは、法人設立を考えている新規事業者にとっては大きな魅力ではないでしょうか。
以上のようにいいことずくめに見える合同会社ですが、上場することはできません。
たとえば、幅広く出資者を募り、ゆくゆくは上場も視野に入れているような場合は、やはり株式会社を選択する必要があるでしょう。
そうは言っても、このように株式会社とは一味違った特徴を備える合同会社は、今後社会での認知も上がり、そのメリットが理解されていくでしょうから、ますます設立件数も増えていくような気がします。
会社の設立をお考えの方は、是非選択肢に加えてみてください。