55歳の女性は30年前に結婚して以来、夜にまともに睡眠を取れたためしがありません。彼女は毎晩2kmの泥道を踏み越えて、地下水が湧いている小池に水汲みに行かなくてはなりません。金属の容器に10リットルの水を入れたら、これをかついで上り坂を家に帰ります。この水汲みの行程は時に5時間以上かかることもあります。
ここはインド西部マハーラシュトラ州、商都ムンバイから400km弱のマハイスマル。高地に位置しモンスーン期には緑に覆われた風景が観光客に人気の町です。ただご他聞にもれずインドでは大部分の地域で慢性的な水不足に悩んでいます。
この小池はかつて大きな池でしたが水量が年々減少し、今ではこの地域でも限られた貴重な水源となっています。毎晩遠くは5km以上も遠くから数十人の女性がここに水を汲みに来ます。しかし溜まった水量が少ないので1人がバケツ1杯を満たすのも容易ではありません。
いったん小池が枯渇すると水が再び湧くまで数時間かかります。4月の平均的な水汲みの待ち時間は2時間です。5月には数リットル汲むために徹夜となります。
しかもこの水汲みには危険が伴ないます。小池に女性らが集まると間もなく大きなかがり火が焚かれます。野生動物を寄せつけないためです。数年前にはここで女性がヒョウに襲われたことがあります。
しかしながら冒頭に紹介した女性、30年間まともな睡眠なしという例に見るまでもなく、地方では女性が差別的な扱いを受けています。以前には本ブログで、女性が生理時に不衛生な「生理部屋」で何日も監禁されるという実態をご紹介しました。
こうした事態が解消されなければ、世界最大の民主国家と言い張ったところで、インドはなかなか先進国とは認められないことでしょう。
↓↓↓参加しています。クリックを宜しくお願い致します☆