三菱一号館美術館を後にしまして、東京駅の反対側、京橋のアーティゾン美術館に向かおうと思いましたら、八重洲に抜ける通路の手前、東京ステーションギャラリーで『藤田嗣治』展をやっているではないですか。
そうそう
これ見たかったんだわ
美術展3本はちょっとキツイかと一瞬逡巡しましたが、ここは寄っておこうとふらりと入館。
この展覧会は藤田が日本や世界各地をまわって撮った写真とそれをもとに構成した絵が中心の展示でした。
いつも思うのだけど、絵をやっている人の写真ってやっぱりうまいんですよね。
2022年に107歳で亡くなった報道写真家の笹本恒子さんが、「絵をやっていたので、構図は得意」というようなことをおっしゃっていたのを読んだ覚えがあります。
参考で、マン・レイの写真も展示されていました。
『モンマルトルのキキ』なんて、構図がフジタっぽい。
同時代の芸術家どうしが互いに刺激されていたのでしょうか。
ウジェーヌ・アジュという人の作品はパリの平凡な日常(といっても裏道の雰囲気がすごくかっこいい)を写しているとありましたが、そこに目を向ける視点がフジタと共通するみたいです。
圧巻はフジタが撮ったたくさんの写真です。
メキシコの闘牛や中南米の子どもたち、北京にて、沖縄にて、秋田にて、ベトナムにてから、パリの蚤の市の風景、パリ郊外の風景、ローマ、アルル、、、テーブル、ワイングラス
フジタはこの写真の中から細部を切り取って、まるでコラージュのようにキャンバスの上に絵を構成します。
これがこうなるんだ!
もととなった写真とでき上った作品を同時に見ることができる楽しい経験でした。
さらには木村伊兵衛が撮ったパリのフジタやフランク・シャーマンの撮った旅行中のフジタ、阿部徹雄や清川泰次の撮ったフジタのアトリエなど興味深く、さらっと見るつもりがじっくり見入ってしまった。
あの人はえらく近眼だし、写真のことなんか知らないですよ。だけどもうまいんですね。-木村伊兵衛(「色彩撮影の実際問題」『アサヒカメラ』第41巻第8号、P144)
おつき合いありがとうございます(^-^)