2019年から改装工事のため休館していた「畠山記念館」
2024年9月に「荏原 畠山美術館」として、開館しました。
住宅街にポンとあります。
開館記念Ⅱとして、畠山即翁のコレクションから琳派の作品などが展示されていました。
古美術はまったくわからないのですが、尾形光琳〈布袋図〉とか、酒井抱一〈風神雷神図〉とか、見ればすごいと思う作品ばかり。
重要文化財の〈金銀泥四季草花下絵古今和歌巻〉は、俵屋宗達の下絵に本阿弥光悦が和歌を書き散らした贅沢なつくり。
見ごたえありました。
あとね、尾形乾山って人のお皿とか、茶道具とかすてきでしたよ。
そもそもここで見たいと思っていたのは、即翁の甥で、荏原製作所を継いだ酒井億尋のコレクションです。
この人、もともと画家を目指していたとかで、川上涼花、津田青楓、中村彝など、親交のあった日本の洋画家の作品をはじめ、印象派や20世紀フランスの画家の作品もコレクションしていたとか。
そのうちのいくつかは他の美術館に寄贈されていて、その全容は知れないとのことですが、展示されている作品はどれも印象に残るものばかりです。
ルノワールやボナールの〈風景〉と題する絵は心安らぐし、ジョルジュ・ルオー〈塔のある風景〉は小さいけど、存在感があります。
梅原龍三郎の〈バラ〉は迫力ありました。でも、曽太郎の〈薔薇〉のほうが好みかな。
こちらは、アーティゾン美術館にあるものの類例作だそうです。
洋画は地下の展示室にありましたが、そのうちの小さな部屋には中村彝関係の作品ばかり集められていました。
彝に影響を受けたという長谷部英一の絵とともに、堀進二の〈中村彝氏像〉
彝の〈シスレー「廃屋、フォンティーヌの道」模写〉、〈鳥籠のある庭の一隅〉、「絶筆」として知られる〈静物〉にも再び会えました。
茨城県で見たときは圧倒的な量でしたが、少しだけじっくり見るのもまたよかったです。
敷地内には本館のほか、茶室、庭があります。
美術館のホームページによると、能登国藩主畠山氏の後裔でもある創立者畠山一清(1881―1971)が、事業のかたわら、即翁と号して能楽と茶の湯を嗜み、長年にわたり美術品の蒐集に努め、昭和の初めに旧寺島宗則伯爵邸のあった白金猿町の土地約三千坪を購入、奈良般若寺の遺構や、加賀前田家重臣横山家の能舞台などを移築して、私邸「般若苑」を造営したとのこと。
「般若苑」の土地は第二次世界大戦後、石橋湛山の公邸として用いられた後、売りに出て料亭・般若苑となり、三島由紀夫の小説『宴のあと』に登場する料亭のモデルともなりました。
その後、料亭の建物も解体され、今では某通信・ITグループ代表の別邸といわれる建物がそびえています。
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