ブロ友さんの記事で知って、行ってみました。
中村彝展
茨城県近代美術館です。
彝は、何を見たのか。そして、何を描いたのか。
17歳で結核のため軍人になることをあきらめ、療養中に画家を志した中村彝。
37歳で亡くなるまでの約20年間で、数多くの作品を残しました。
彝の生誕地である茨城県のこの美術館は彼の作品の多くを収蔵しています。
本展では彝が残した約120点の作品とともに、遺品、書簡などの資料が展示されていました。
展覧会は6部構成
西洋美術を画集(しかも白黒)でしか見たことがなかったのに、そこから学び、産み出された作品はどれも力強いです。
病を得ながら、画業を続けられた背景には、そんな彝を支援した人たちの存在もありました。
なかでも、新宿中村屋の相馬愛蔵・黒光夫妻との関係は深く、彝は裏の画室に住んで、相馬家の長女・俊子をモデルに9点の作品を描いています。そのうちの8点が並ぶようすは壮観です。
大正3年に描かれた〈少女裸像〉の説明には、当時、俊子が通っていた女子聖学院の教師が見て、公開を取りやめさせたというエピソードも書かれていました。
本展では、彝が影響を受けたルノワールの〈泉による女〉(大原美術館蔵)も、特別展示されています。
この絵に見入った彝は、「これまでは随分無駄をやって居たなァ」と言ったそうで、この絵のあと、本人も驚くほど絵が変わっていきます。
実際、そのあとに続く静物画の展示室で、わたしは動けなくなってしまいました。
10点以上の静物画が並ぶのですが、どの絵にも惹きつけられる。
どの絵もずっと見ていたい。
油絵を見て、こんな感覚になるのは初めてです。
人物画のコーナーでは国立近代美術館でおなじみの〈エロシェンコ氏の像〉(重文)も展示されていました。
これは国立近代で撮ったもの。
重要文化財の公開日数制限の関係で12月22-28はパネル展示になるそうです。
最終章「死を越えて―歴史に生きる」がまたいいのです。
〈血を吐く男〉(東京国立博物館)、〈カルピスの包み紙のある静物〉(茨城県近代美術館)、〈頭蓋骨を持てる自画像〉(大原美術館)〈老母の像〉(徳川ミュージアム)など、
ツネさんは、いつも死が身近にあったと思うけど、誰だっていつ死んでもおかしくないんだよなあ。
敷地内には東京・下落合にあった彝のアトリエが新築復元されています。
おつき合いありがとうございます。