またまた、とんとんさんのご紹介で
神奈川県立美術館葉山で「生誕110年傑作誕生佐藤忠良」を観た!その1|とんとん・にっき
彫刻・・・
わかんないかな~と、躊躇していましたが、『大きなかぶ』の挿絵も描かれた方だと!
行ってみました。
とんとんさんは3回にわたって記事にされていますが、そのくらいのボリュームです。
入ってすぐのお部屋で開催されていた「野崎道雄コレクション 見えないもの、見たいこころ」もすばらしく、佐藤忠良までなかなかたどりつけません。
野崎道雄氏は札幌生まれの眼科医で、藤沢市で医院を解説するかたわら、印象派や近現代美術に関心を深め、ゲルハルト・リヒターやジグマー・ポルケなどの収集を始めたそうです。
2022年、152件の作品を神奈川県立美術館に寄贈された作品の一部が公開されていました。
リヒターはもちろん、ヨーゼフ・ボイス、デュシャン(ミニチュア・レプリカだけど)まで見られるとは、思いがけないことでした。
で、佐藤忠良(ちゅうりょう)です。
佐藤忠良は一時「佐藤の首狩り」と言われるほど、顔の彫刻をつくったそうですが、さまざまな顔が一つの部屋に並びます。
私はまず目に入った《母の顔》の前でしばらく動けなくなってしまいました。
こちらは戦時中の1942年に制作され、長い間石膏の状態でアトリエで眠っていたそうです。
ブロンズに鋳造されて初出展されたのは1981年、パリの国立ロダン美術館で開催された「佐藤忠良展」でのことで、「その成功は日本の美術界にとって歴史的な出来事となった」というのは、後で図録を読んで知りました。
《群馬の人》《魚商の女》《建築家》《常盤の大工》など、静かな意志を宿したいきいきとした表情に、じっと見入ってしまいます。
《オリエ》という少女の顔の像もあって、「もしや」と思ったら、佐藤忠良は女優の佐藤オリエのお父さんなんですね。
この女優さん、声がとってもすてきで、好きだったな。
《画家の像》というのが私にはどうも朝倉摂に見えます。
朝倉家とは交流があり、摂は別の作品のモデルになっているようです。
《土》《水》といった小さな作品もすばらしく、《しゃがむ女》《足を伸ばす女》など、裸体の像も本当に生き生きしている。
飽きることがありません。
ロダン、マイヨール、ドガ、クリムト、ピカソなど、佐藤がアトリエに飾っていた作品も見ることができました。
最後のお部屋は絵本の原画や油絵の展示です。
さまざまな国の言語で出版された『大きなかぶ』のほか、『ゆきむすめ』の展示もありました。
これも切なくていいんだよね。
実は、このあいだロダンの作品を上野であらためて見て、《考える人》がたくさんいることに遅ればせながら気づきました。
私は、こういうブロンズ像も「彫ってる」んだとばかり思っていたんですが、粘土とか石膏でつくって型を取って、ブロンズを流して鋳造するそうですね。
それでも、ロダンならロダンが作ったことになるんだとか。
佐藤忠良さんが認めてるのは、基本8点まで。
そんなことを知ったのはこちらの本からです。
著者の堀越啓さんは、美術を専門に学んだ方ではなく、ふつうのメーカーのサラリーマンでした。それが、東日本大震災などの経験からアートの会社に入社し、今では美術に関わるお仕事をされています。
そのせいか、素人が知りたい《彫刻》について、楽しく解説してくれて参考になりました。
ちなみに、堀越さんの家族は、佐藤忠良と交流があり、堀越さんの名づけ親は佐藤さんなのだそうです。
神奈川県立美術館葉山には、屋外彫刻がなんと21作品も展示されています。
こちらは無料で見られます。
おつき合いありがとうございます。