少し時間がたってしまったのですが、《朝倉摂展》に行ってまいりました。
朝倉摂(あさくら・せつ) 略歴
1922(大正11)年、彫刻家・朝倉文夫の長女として東京都・谷中に生まれる。
17歳から伊東深水に日本画を学び、1941(昭和16)年、第4回新文展に《小憩》が初入選。
1940年代末から舞台美術を手がけ始め、1970年にはロックフェラー財団の招聘によりニューヨークで舞台美術を学ぶ。
2006年、文化功労者。2014年、91歳で死去。
朝倉摂さんといえば、私は舞台美術家としてしか知らなかったのですが、画家としても若くしてその才能を認められていたようです。
その後、ピカソなどの影響も受け、作品は前衛的な感じになります。
地方の漁村や炭鉱を訪れ、労働者の生活に取材した社会派の作品も発表します。
1950年代からは本格的に舞台芸術に取り組むようになり、蜷川幸雄の『リア王』(1975年)、唐十郎の『蛇姫様』(1977年)などの舞台を手がけます。
生前は本人の意向により日本画家時代の作品が公開される機会はあまりなかったそうです。
展示は4部で構成され、最後に挿絵の仕事が紹介されていました。
朝倉は新聞・雑誌の連載小説やエッセイの挿絵も多く残しています。
松本清張『砂の器』や五木寛之、谷川俊太郎、向田邦子、吉行淳之介など、そうそうたる顔ぶれです。
その関係からか、図録には谷川俊太郎さんも寄稿しています。
新聞・雑誌の連載小説の挿絵は連載時のみ目にすることができるもので、なかなか見る機会がないもののようです。
さらに知らなかったのは、絵本の挿絵も数多く手がけていたことです。
松谷みよ子『たつのこたろう』
新美南吉『ごんぎつね』
小川未明『赤いろうそくと人魚』
大佛次郎『スイッチョねこ』
『スイッチョねこ』は大佛次郎が「一代の傑作」と自賛した童話で、朝倉はこの作品で講談社出版文化賞絵本賞を受賞しています。
会場の神奈川県立近代美術館 葉山館は、海辺に建つ美術館です。
JR横須賀線逗子駅もしくは京浜急行逗子・葉山駅からバスで約20分程度とアクセスはよくないですが、ロケーションは最高でした。
不便な場所なのに、終了間際だったせいか、かなりの人出でした。
チラシは人気のため配布が終了しており、図録には行列ができ、ショップの店員さんがバックヤードから運んできてくれました。
もらえなかったチラシ
6月26日からは練馬区立美術館でも見れられます。
お読みいただきありがとうございました。