藤川は去年(というか、まだかろうじて今年か)の失敗にものすごく懲りている。
見捨てる人間は、迷わず見捨てなければならないということを、あの裏切りの連鎖の中で嫌というほど学習した。
これまで、生徒達を信じ、最後は何とかこれまでの子達は応えてきた。だから、保護者の方からも徹底的に守ってきた。しかし、去年の致命的な裏切りは、藤川のこれまでの価値観を全て破壊するに十分すぎるだけのものがあった。
そして、今、ある生徒さんの紹介で、浪人生の女の子をみている。ちなみに、その合格した生徒さんは現在、千葉県にある著作権にものすごくうるさいネズミの国で遊んでいるらしい。仙台にいるならば、即刻、紹介の責任をとらせたいとさえ思っている。
ドタキャンの嵐、お宅にうかがえばベットで寝ている。予習はしない。パジャマで授業を受けるなと、仮にも♂である藤川は言いたい。
そして、今日、確信犯的に起きてこなかった。
とうの昔にお母様はマジギレ。それをどうにかこうにかなだめてきたのだが、さすがに今日は、藤川がキレた。
「やめますか。妹さんだけ面倒をみますので、やる気がないならほっときましょう。」
そもそも、浪人した大学のラインナップがたいしたことがないにもかかわらず、東北大を志望してきた。
高校のレベルを考えれば、決して不可能ではない。真剣に一年勉強するなら、東北大を勝ち負けに持ち込むことは可能である。だから、引き受けたし(紹介者が紹介者であったので)、勝たせようと思った。
だが、この三月をあーだこーだと理由をつけて全て無駄にした挙句、起きてこないというのはどういう了見なのか。
ノートを見ても全く勉強している形跡はない。
こんな人間のために貴重な時間を使えないのだ。その時間に指導を受けたいといっている生徒さんもいるのだから。
というわけで、ネズミの国から帰り次第、連絡すること(>私信)。
自分が紹介した以上、被紹介者の不始末の責任はとること。
私は本気で怒っている。
おまえの友達だから、かなり無謀な注文でも引き受けたのだ。
落とし前はつけるように。
と、怒っているとお伝え下さい(>お母様)
追伸
明日(今日)中に決着をつける予定。
先方は待たせられない。
そして、何より、私が怒り狂っている。
謝らせるなら、今日がタイムリミットだ。
紹介者の責任でなんとかされたし。
タイムリミットを過ぎた後は、正直、知らん。