「風塵」とは世間のこと、つまりタイトルの「風塵抄」とは世間話のことであると司馬自身が述べている。まさに話題はいろいろな分野に広がり、つれづれなるままにと記された徒然草のごときである。だが、新聞に月1回連載されたこのエッセイは、80年代末から90年代初めまでを舞台とする。こうしてこの時代を振り返ってみると、日本にとって決して無風の時代ではなかったことがよく分かる。バブル全盛期で地価が沸騰し、世間が踊らされ、国際的にはソ連邦が崩壊、中東では湾岸戦争が起きる。そして、日本史にとって最も激動の時代と言っていい昭和が、天皇の崩御と共に終わる。司馬は、そういった時代の中で感じたことを彼らしい視点で分析し、述懐する。司馬らしい文章もいいし、彼の博覧強記ぶりもこちらが勉強になる。
司馬作品で小説は 高校生から半分以上は読んでいるが
エッセイは読んだことなかった
NHKアーカイブの昭和への道の再放送に凄く感銘を受けて その思いは
全ての人に見てほしい内容だった
そして このエッセイは司馬の考えがよくわかり ホント同感することばかり
土地を 個人の物にしたことによる 弊害がよくわかったが
どうしようもない 司馬が今に生きていたら
どんなメッセージをくれるのだろうか?
親米と親中の狭間で 右往左往している 日本
どちらかマシな方についていくしかない
