解剖学の講座が始まった。
インストラクターが、人体の模型を前に説明を行う。
部位の特徴や可動についてなど、ピンポイントで詳しく説明が行われた。
しかし、トレガーは、実技を重視するワーク。
実際の体で確かめながら、習得する。
基本的なレベルコースと違う点は、
手技が少し高度で複雑で、より高い能力が求められる。(私はそう思った)

再三言っているが、私は物覚えが非常に悪い。
頭の中はぐちゃぐちゃ。手はフリーズ状態。
いまでも解剖学の講座のことは、全く覚えていない。f(^_^;

じゃ、どんな風にトレガーをマスターし
練習を行っているのかと言われそうだが
たぶん、私は我流で行っていたのでないかと
思う。
今更だけど、メンバーには邪道と批難されるだろうなぁ。
もちろん、大体の手技は、マスターしたつもりだが
基本的には、自分の指先の指令に従って
手を動かしている。
もう少し具体的に言うと
まず相手の体をそっと触る。
そして少しずつ移動させて、観察する。
すると、ある箇所で私の指先に
ある種の磁気のようなパルスを感じ
そこを注視していると
その磁気は次第に増幅していき
私の体の中を駆け巡っていく。
触った箇所が一ヵ所なのに
相手の体全体が和らいでいくのがわかり
うまくいくと、ボディのアウトラインが
ふぁっとしたクッションのような
オーラに包まれたようになる。
この時は、施術する、されるという感覚は
完全に消え、一体感を感じ
共に体が整っていくのを実感する。

もっとうまくいくと、手を離しても
その一体感はそのまま。
さらには距離をおいても、一帯に
エネルギーが駆け巡る。

こうなると、ちょっとヤバイ。
私は、手かざしやエネルギーの注入などといった類いは全く信じていない。
嫌悪さえしている。

だが、パルスの発症、振動、広がり、循環を
私ははっきり感じるのだ。
人間そのものに電気があるのは間違いないし
電気を持っている人間と人間が呼応すれば
何らかの現象が起きることも不思議なことではない。
要は、感じるか、感じないかの問題だと思う。
ただ、電気もエネルギーも目には見えない。
感じることしか実感できない。
感じ方も、人によってそれぞれだ。
視覚で感じる人もいれば聴覚、触覚、味覚、嗅覚、イメージなど、自分にふさわしい能力を駆使し感じるのだと思う。
私の場合は、どちらかというと触覚に近いかもしれない。
柔らかい絨毯の上を歩いているのをイメージしてみて。と言われても想像力の乏しい私はイメージが湧かず、お手上げだ。
ど近眼で、最近テレビの音声が聞きにくくなって、視覚や聴覚にも自信がない。
嗅覚は、動物が最後まで保持する本能だが
時間が経つとマヒする。
感覚としてとらえるのは、難しい。
触覚は感じ方がダイレクトで
わかりすい。私の場合は。
そして、たまたま、
私にそれを感じるスイッチが与えられたのだといまでも思っている。

おっと❗
つい私の我流トレガーの話が長くなってしまった。

と言うわけで、
私のレベル2と解剖学の講座が終わった。

次回につづく。 




レベル2の講座が終わった。
この会場では、引き続き解剖学の講座が行われる。
受講生は、レベル2のみを受講する人、解剖学のみを受講する人、私のように両方を受講する人などさまざまだ。
レベル2の後、解剖学の講座が行われることになっていた。
ただ、ふたつの講座は引き続き行われるのでなく、講座の間に2日間の空き日が設けられていた。
この2日間は、レベル2と解剖学をセットで受講するものだけが残った。
残ったのは、インストラクターとサポーターとあとひとり(誰だったか覚えていない)と私の4人だったように記憶している。
その1日をインストラクターを除く3人で
戸隠神社を参拝することにした。

ついこの間起きたミラクルな出来事によって
残念ながら花粉症については、全快とはいかなかった。

戸隠神社の鳥居の前に立つと
凛とした空気に包まれた。
両脇に聳え立つ木々の間の参道を歩いて行くと
辺りは所々に雪が残っていた。
空気が美味しく、気持ちがよかった。
気がつけば、花粉症の症状が緩和していた。
大きな木を抱えると、木の中で流れる水の音が聞こえ、命の鼓動を感じた。
頂上に奉られている奥社に着くと、青く聳え立つ後立山の稜線が視界を広げた。
なんと美しい❗
その時は、花粉症の症状は、全くと言っていいくらい、消えていた。
奥社を参拝して、下山。
車に乗り込むと、再び花粉症の症状が
現れてきた。
なぜかわからないけど
自然の命が、私たち人間という命に
何らかの作用を働らかせたのだと
思わないではいられなかった。

次回につづく。


レベル2の受講会場は、
長野県の高台に立つコテージが散在する
自然豊かな場所に設定された。
コテージは、母屋の他に、食事棟、風呂棟、イベント棟があり、それぞれの棟には宿泊施設が付随している。
敷地は広く、辺りは季節の花々が咲き誇り
小高い丘には、無農薬の有機野菜が育てられている。
この宿舎は、
スピリチュアル系の人が多く利用していて
受講中の朝、フルートの練習をする
アーティストに出会ったこともあった。

自然豊かな環境での受講なのだが
その時の私は、花粉症の真っ最中。
鼻水、くしゃみ、目のかゆみに
悩まされていた。

イベント棟で手技受講が始まった。
インストラクターのデモンストレーションの後
受講生がふたりが組になって
手技の練習をすることになった。
最初に、私がボディになってうつ伏せになり
手技を受けることになった。
相手は同期の男性O 氏。
私は花粉症で最悪の体調。イライラしていた。
加えて彼の手の運びはぎこちなく
皮膚への当たりも強く痛かった。
私のイライラはさらに募り
思わず「やめて❗」と叫んでいた。
彼は、私の叫びに驚き
困惑して立ちすくんでいるようだった。
(私はうつ伏せになっているので、よくわかなかったけど)
しばらくして、彼は再び私の体に触った。
今度は、動かすことなく、手をじっと当てているだけだった。
すると、どうしたことでしょう❗
その手から急に電気のようなパルスが流れ
やがて、それが全身を駆け巡っていくではないか❗
これはなんだ‼と思ったのも束の間
これまでの花粉症の不快感が吹っ飛んでいた。
まるで狐につままれたような驚き。
「何をしたの?」と体を起こし
彼に聞くと、どうしていいかわからなくなり
トレガーの基本である「重さをはかる」ことから
やってみようと、試みたと言う。
この手品にあったような驚きは
彼も感じたようだ。
身体中に電気のようなものが走り
何ともいえない快感を感じたと。
後で思ったが、きっと私とO氏のエネルギーが
ふたりの体を巡りシンクロしたのだろう。
私たちは顔を見合せ、茫然としていた。
今度は私が彼の体を触ってみた。
私が触っても同様にエネルギーが巡るのを
感じた。
あの衝撃的な体験は、後にも先にもなく
あの時だけである。

ただ、以来その感触は、体に染み込んだようだ。
手に伝わってくる感じが、これまでと違っていた。
これまでより、微細に感じるようになったと思う。

次回につづく。