お母さんがガンを発症したと
相談したいと40代の男性が来訪した。
まだ、私の間違った情報が蔓延していた。
困ったもんだ。

とりあえずお会いすることにした。
聞けば、ガンを発症したお母さん自身は
達観して、ガンを冷静に
受け止めているのだけど
息子さんがうろたえている。
心配で夜も眠られないと言う。
母ひとりで自分を育ててくれ
これまで苦労させてきた。
こらから楽をさせたいと
思っていたのにと嘆く。

そんな息子の思いをお母さんは
気遣っているようだった。
これでは、誰がガン患者なのかと
違った意味で困ってしまった。

とりあえず
彼にマッサージテーブルに寝てもらい
ワークを行うことにした。
体は緊張でコチコチだった。
まず、頭や手足などの抹消部位から
体全体をほぐすことから始めることにした。
次第に彼の体はリラックスして
柔らかくなって、爆睡。
ワークを終えるとスッキリとした表情で
「母の気持ちを尊敬して、まず私がいまの母の現状を受け止めることにします。私が落ち込んで、どうするんでしょうね」と苦笑していた。

清々しい表情で、サロンを後にした。

親子の愛の強さ、絆に感動するとともに
その度合いについて考えさせられ
少々複雑な思いにもかられた。

次回につづく。
私には、ウォーキングの会で知り合った
一回り年下の友人がいる。
20年くらい付き合って、気がおけなく
親友の一人でもある。

そんな彼女が血相を変えて
私に電話をかけてきた。
「父にガン宣告が下された。
しかも余命半年と告げられた」と。

私は彼女にそう嘆かれても
あまり驚かなかった。
自分がガン患者であったこともあったが
そんなことより、ガンと言われたなら
それを受けとめ、付き合えばいいじゃないか❗
と虚勢ではなく、素直にそう思い
彼女に淡々と伝えた。
私がガン患者だったことや親友だったことが
彼女の心に響いたらしく
涙ながらも、言葉の調子が
少し明るくなっていた。

もちろん、私も無責任に
言ったつもりはない。
ガンは自分の体の中にでき
自分が作ったものだ。
だからその新生物と戦うのではなく
つきあうしかないと思っている。
その考えは、あの炭焼きおじさんから
学んだ。

そんな思いで、彼女にも言ったのだ。

彼女に粉末の竹炭と竹酢を渡し
すでに入院しているお父さんに
私なりのエネルギーワークを行った。
そうすると、お父さんの優しいオーラが
私の中に届き、なぜか涙が溢れてきた。

しばらくして
彼女は、お父さんを伴って
我が家に訪れた。
なんと症状がよくなり
退院することになったということで
わざわざ、私にあいさつに来て
くれたのだった。
これには、私自身が驚いた。
お父さんの、生命エネルギーに
スイッチが入ったのだと感じた。
そのことが自分のことのように嬉しかった。

しかし、生命力は持続しなかった。
いつしかお父さんに危篤を知らされたと
連絡が入った。
私はすぐに駆け付け、ベッドに横たわる
お父さんに会った。
思いの外、お父さんは、穏やかな表情て
静かに私に微笑みを返してくれた。
その顔をみて、どこか神々しいものを感じた。
私は目を閉じ
お父さんのエネルギーを受けとめ
そばに寄り添う彼女と彼女のお母さんの
エネルギーが部屋全体に漂い
それらが融合し、私を包んでいた。
ある種の感動が私の中から溢れた。

それから、私は病院を後にし
家に戻ってからもその静謐な気分が続き
とても安らかな気持ちになった。

それから二日後
お父さんが亡くなったと伝えられた。
私が訪れた後、お父さんは急に元気になり
何も食べられなくなっていたのに
美味しくジュースを飲んだと当時を述懐した。
臨終も苦しむこともなく
とても穏やかな表情で逝ったと伝えてくれた。
お父さんは、天に召されたのだ。

いまでも、私の心の中に
彼女のお父さんの神々しいお顔は
焼き付いている。

きっと、いまもお父さんの
高貴なエネルギーが
住み着いているに違いない。

次回につづく。




徐々に、いろんな方が
わがサロンに訪れるようになってきた。

いつものようにワークを行うなのだか
時折、施術後体がひどく重く感じ
体調が悪くなる時があった。
また、私の影響で、
トレガーを始めた広告界の後輩と
ある有名な神社に参拝し、帰り道から
とても不快な気分に襲われた。
それは後輩も同様だった。
後で考えてみると
ワークでは、顧客のネガティブなエネルギーを
必要以上に、自分の体に取り込んだこと。
神社では、参拝した人の強い祈りの気持ちが
私と後輩の体に入り込んだことが
原因ではないかと思った。

私は、セッションでは
つい相手に入れ込んでしまう時がある。
きっとそれが災いしたのだと思う。
もちろん、顧客のせいではない。
私自身のエネルギーが
それを上回るものになっていないこと。
施術を行うにしても、ある程度の境界線を保つ必要性を感じた。
神社での不快感は、後輩が伝授による
お祓い、具体的には肩や背中を
帚で払うように行うと、不快感が治まった。

この世には、いろんなエネルギーが
混沌と舞っていることを実感する。

次回につづく。