8月2日。東京へあと3日後に出発する。

今日は最後の全体練習の日であり、朝8時から12時まで連携やバッティングの確認などを行う予定である。

グラウンドに向かう途中、昨日のザキの言葉や先日のヒデキの振る舞いを一つ一つ振り返った。

「俺、なに天狗になっとったんやろ、たいしたこともしてへんのに偉そうに監督のやり方に文句をつけて。第一、俺もあの監督と一緒に東京に行こうって誓こうたんちゃうんかいな。そやのに偉そうに。力があって、文句をいわさんだけの活躍しとんやったらまだしも、まともに1試合も投げられへん上に、チャンスに打つわけでもないし、バリバリ守備がうまいわけでもない。それやのになに偉そうにいうとんやろ。あぁ、情けない。。。」

そう思うと今までの自分に一刻も早く決別したかった。

また、考えれば考えるほど、今回は問題は私の外にあるのではない。私の中にあるように感じてきた。その私の内にある思いを少しでも払拭したい。そんな思いを胸にグラウンドに向かった。

グラウンドについて、円陣を組み、監督から「東京遠征は間近。今日はけがだけはせんように、しっかり練習しよう。」とのコメントがあった。

キャッチボールが始まる。グラウンドに広がり、それぞれ目的を持って取りかかった。その時、監督が私に声をかけた。

「もっと手を上から出すことを意識して取り組め。少々投げにくくても、上から、上から・・・・」身振り手振りを交えての指導だった。

今まで下半身を鍛えるのに必死だった。上半身については、最近ツジ課長からも指導を受けていた。

あまり意識したことがなかったが、監督から改めて指導をうけ、もっと意識しようと心がけた。

キャッチボールの後、フリーバッティングをおこなった。今日は所用があり、先に帰らねばならなかったので、ノリより先に投げさせてもらった。

その際にも監督から大きな声で「上から投げる意識をせぃ!」との言葉が飛ぶ。

それに応えようと必死に意識すればするほどうまくいかない。悔しいけれど思うように投げられない。

フリーバッティング終了後、自ら監督にアドバイスをもらいにいった。

監督も身振り手振りを交え、細かく教えてくれた。その最後に、

「ノリ1人では勝てへん。お前もしっかり投げんと東京は勝ち抜けへんのや。その覚悟を持って取り組め!」

との、コメントをもらった。

「はいっ!」

心の底から言葉が出てきた。やるしかない。どこまでできるかわからないけど、やれることはやってやる。

改めて自分自身に東京への気持ちを確認した。「なにがあっても勝ちたい。」その言葉がすんなり出てきた。

前に前に!あと少し、思いっきりできることをやってやる。そこには今までの腐った自分はいなかった。

東京遠征まであと3日。監督とここにいるメンバーとともに燃え尽きてやる。

自分の心は決まった。