次の日から、朝のメニューにシャドーピッチングを取り入れた。
タオルを持って20分(5km)ほど走り、そのまま芝生公園の溝の木蓋の上に立つ、タオルが汗で濡れてちょうどいい重さになっている。そのタオルを振りかざすのだ。
しかし、むやみやたらにやってもだめである。
ここで私はまっすぐ、かつ長くのびた溝の木蓋の上で練習する。なぜなら木蓋はまっすぐになっており、その先に捕手がいると想定して、その上でシャドーを行うことは足を捕手に向けてまっすぐに出していることになるからである。すなわち、体が開くと足は木蓋の上に乗らないことになる。
だからまずは木蓋をしっかり踏みながら投げ込むことを心がける。それに加えて、手を真上から出すように心がける。
この練習を毎朝10分ほど続ける。足は思いのほかまっすぐ出て、ほとんど木蓋から外れることなくしっかりと踏みつけている。やはり走り込みの成果は出ているのだろうか。
しかし腕を真上からだそうとすると、上半身がうなりを上げる。かなりしんどい。
こう考えると、いかにいつもなにも考えず投げていたかがわかる。
今更、こんな練習をしても東京に間に合うわけがないとはわかっていた。でも、何でもいいからやってやろうと、いや、やらざるを得ない自分がそこにいた。
次の日、案の定、肩は筋肉痛になっていた。何ともいえない痛みが走った。
「このおっさんめ・・・。」肉体的に弱っている自分を恨んだ、しかし気持ちは高校球児バリのテンションだ。
いよいよ東京出発を直前に控えた日、さらに私はみんなに次のようなメールを送った。
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職員野球部の皆様 主将です。
土曜日の全体練習はお疲れ様でした。暑かったですねぇ。。。。
ちょうど1年前に、来年も東京に行こうと決意を固め、練習メニューをたて、月2回のペースで取り組んできました。
本当にくつらくしんどい時期もあったかと思いますが、それらの活動を通じて、それぞれ何かを得、少しはレベルアップ出来たのではないかと思います。
私も主将として、できることは・・・と思いつつも、気がつけば口を出すだけの役立たず主将になっていました。(ごめんちん。)
その点に関しては、ゴリ・リョウタ・ニシモ・チンパン・ハマ・ヒデキ・ノリ・ナベさんの世話役の方々には、運営手続きのことから、時には相談事までお付き合い頂き、本当に助けて頂きました。
そして何より、東京に一緒に行くメンバーの皆さんにも、家族や彼女(彼氏)の冷たい視線を浴びながら、積極的に練習や試合に参加して下さったこと、心から感謝し、御礼申し上げます。
一人では何もできない、生かされて生きている自分を実感させて頂きました。
本当にごめんなさい。そしてありがとうございました。こんな主将ですが、もう少しお付き合い下さい。
さ、いよいよ東京へ出発の日が目の前に迫りました。
それぞれ、色んな思いを胸に、やれることはやってきたと思います。悔いのない戦いなど、そうそうありませんが、勝ちにこだわり、貪欲
に挑んでやりましょう!
そして今まで取り組んできた成果を東京の連中に見せつけてやろうじゃありませんか。あのくそ熱い東京のグラウンドで大暴れしましょう!
ささっ!今度こそ、心の底から・・・・みなさんご唱和下さい。
「盛り上がって、まいりましょう!!!」
名ばかり主将でした。失礼します。(笑)
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これが今の素直な気持ちである。主将としてできることをしよう。この気持ちがどこまで届くかわからないが、今まで全員で汗だくになって取り組んできたことが無駄にならないように、精一杯のことはやりたかった。
「やることはやったよ。」もう一人の自分が、私を慰めるように言ってくれた。
いろいろあったけど無駄なことは一つもない。負けても悔いはないというのは嘘だが、それに近い気持ちになりたい。
いよいよ、おっさんたちの甲子園が幕を開けようとしていた。
どんなドラマが待ち受けているのか、期待と不安が渦巻く。いざっ!