全体練習当日、天候は良かった。しかし湿気もすごかった。

梅雨の合間と言うこともあって、何とも不快指数100%の休日だった。

私は寝不足のまま、準備をし、車に乗って練習場へと向かった。

その車の中でも、今回のポジション発表のことをずっと考えていた。

「監督は何であんなことをしたんだろう。。。」考えても答えは分からない、そして同時に何とも腹立たしい気持ちになるのであった。

グラウンドに着くと多くの選手がすでにキャッチボールを始めていた。

監督の姿は見えない。冗談だと思うが、監督は、「ワシは練習やったらいかへん。」とよく言っておられた。

もし、練習だから休むなんてことになれば、私は断じて許さない!と、そのような気持ちが大きくなっていった。

私もすぐにスパイクに履き替え、練習の輪の中に入っていった。

私のキャッチボールの相手はゴリがしてくれた。

それにしても蒸し暑い、サウナの中でキャッチボールをしているようなものである。すぐに体がぐっしょりとなり、汗がしたたり落ちてきた。

そうしているうちに、遠くからゆっくり歩いてくる人がいる・・・・・。監督だった。

「良かった。来てくださった。」なぜか安堵感がわいてきた。

キャッチボールを終え、次の練習に行く前、私は全員を呼び集め、監督の回りに円陣を組んだ。

監督からコメントがあった。

「いよいよ東京遠征が近づいた、怪我の無いよう、しっかり練習しよう!それからポジションも発表した、意識して取り組んで欲しい。」

その一言でコメントは終わり、それぞれが練習に行こうとしていた。

「すいません。。。」

私は無意識に監督に向かって声を発していた。

「なんや。」監督がこちらを向いて答える。

「なぜ、ゴリを捕手から外したんですか。」そう尋ねた。

「ゴリはまだまだキャッチングがなってないからや。」監督が言う。

「でもキャッチャーの練習はしてもいいですよね?キャッチャーとして、心構えは持っていてもいいですよね?もしリョウタに何かあってキャッチャーがいないときはゴリが出なきゃならないと思ってもいいですよね?だから、「いつでも行ってやるって。」ゴリは常に思ってても良いんですよね?」と、立て続けに私は言った。

監督は私をニヤニヤと見ながら「あたりまえや。。。。。」と、そう答えた。

その一言を聞いたとき、私は拍子抜けした。

なぜ?私が思っていることと同じことを思っているんだったら、なぜわざわざ、捕手のポジションから外す必要があるのか?

わからない・・・・・。なにか意図があるのか?それとも何も考えていなかったのか?

ゴリの気持ちを、私の気持ちを、みんなの気持ちを。。。。

この瞬間、私の中でローソクの火がフッと消えたのを感じた。