家に帰っても、やっぱり腑に落ちなかった。

何ともやりきれない休日だった。

翌週の月曜日、仕事でヒデキに電話をかけた、電話を切る間際、ヒデキにこう聞いた。

「土曜日の試合、おれ、そんなに悪かったか?」

そう言うと、ヒデキは笑いながら、

「愛を感じましたね(笑)。あれは愛の鞭ですよ。キャップ。良い方向に考えましょうよ。」

そう即答した。

それを聞いた瞬間、自分に問いかけた。


”おい、お前(自分)、ぬるま湯につかろうとしてへんか?精一杯やったか?ほんまか?勝とうと思うて投げたか?うそつけ、最終回、にげたやろ?この回、投げきったら終わりや、ま、まずまずの投球やったし、これやったら怒られへんし、また投げさせてもらえるわ。そう思うて投げとったんちゃうか?”


その結果、自分の中で反論することはできなかった。

自分を追いつめず、妥協点を見つけ、無難に収めようとしていた自分がそこにいたのだ。

今まで何度も自分に言い聞かせてきた「逃げるのは簡単だ。」のとおり、簡単な道を選んでしまったのだ。

「全然成長してない・・・・。」またヒデキにそう気づかせてもらった。

「逃げていた。あれほど嫌っていた言葉を無意識のうちに選んでいた。。。。」

そう思うと今度は自分に嫌気がさしてきた。

第一、自分が努力しているのは勝手だ。別に誰にも頼まれちゃいない。

レベルを上げたいと思ったから、勝手に努力をしただけだ。それなのに自分を傷だらけのヒーローと勘違いし、やさしい言葉をかけてもらおうとぬるま湯につかろうとしていただけだったのではないか。


”腐ったら終わりだ。俺は試ためされている。このまま腐るか、なにくそ根性を見せられるか。”


よし、見せてやろうじゃないか。東京で使うかどうかは監督の責任だ。だからたとえ東京で炎上しても監督の責任だ。俺は悪くない、俺を使う監督が悪いんだ!

そう、考えることができた。

練習は裏切らない、、、、走りこみの成果が私の心も少しずつではあるが鍛えてくれているように感じる。

東京まで2ヶ月。もう、悩んでいる時間はない。


明くる朝、いつものとおり、ウィンドブレーカーに身をまとい、いつものルートを走っている自分がいた。

「腐ったら終わりだよ。もっと前へ前へ、それが君らしさじゃないか・・・・。」

どんより曇っている梅雨空が、私にそう声をかけているように感じた。