しばらくすると、八坂神社が見えてきた。

時計を見ると、1時間30分まで、もう1分ほどしかない。

必死の思いで突っ走った。

八坂神社を右手に、南に曲がり、最後の直線を走る。

ついにゴールが見えた。もうそこである!

ふっとゴールに設置してある時計に目をやった。「1時間29分47秒」だった。

げげっ!もう時間がない。

そんなとき、人混みの中から「キャップ!がんばれ!」との大きな声援が聞こえてきた。

ニシモ達だった。

「もうちょっと!気合いで走れ!」自分に言い聞かせた。

しかし、20メートルくらいというところで、無惨にも時計は1時間30分を刻んだのが目に入った。

「ちっきしょう!」と、思うと同時に頭が真っ白になり、力が抜けていくのがわかった。

悔しい・・・・。しかし、自分なりには精一杯走ることができた。

自分をほめてやろうと、最後は大きくガッツポーズをしながら、ゴールを駆け抜けた。

タイムは1時間30分36秒である。

目標の1時間30分は惜しくも切れなかったものの、自己記録を5分も縮めてのゴールである。

この記録なら、なんとかバンブーのお父さんにゆるしてもらえるのではないだろうか。

振り返ると今回のレースは、一時は出走をあきらめたものの、バンブーのお父さんのお陰でチャンスをいただけた。

そのお陰で、最高のタイムをたたき出し、かつ自分を強く磨けたと思う。

心の底からお礼を申し上げたい。


~ほんとうにありがとうございました。~


とぼとぼと控室に向かう途中、バナナ1本とスポーツドリンクをもらった。

バナナをほおばるとたまらなく甘く、パワーがわいてくるのを感じた。

それにしても、この走り終えた後の何とも言えない達成感はたまらない。

最近はこの感覚がやみつきになろうとしている。

そして経験したものだけにしか分からないこの感覚は自分の財産となろうとしている。

あの東京の悪夢のお陰で、普通に過ごしていたら経験することのない、一生ものの趣味を得ることができた。

これからも、冬はマラソンに挑戦して、さらに心身ともに鍛えていきたい。

そんなことを考えながら控室へと向かう。

何ともやさしく、温かい日差しが私を包み込み、春の訪れを感じさせるひとときであった。