嘘を吐く
喋りたくないから、ベラベラと
そこから遠い場所で
我を眺めるひとときの
なんという 寒々しさ
たまには
アルコールを飲みたい
自分のために
何かを見ている
70mmフィルムの
薄茶色
そこにあっても、映らないわけだが
もっと傷がつけばきっと手に馴染む
オイルの匂いが
あれはなんという名前の香水だろうか
話しているうちに
相手の目の中に驚愕と恐怖が隠れているのを見つけて
我に帰る
なんでもそう
話しすぎるのは良くない
本当のことが滲まぬうちに
我に帰るのが良い
嘘を吐く
喋りたくないから、ベラベラと
そこから遠い場所で
我を眺めるひとときの
なんという 寒々しさ
たまには
アルコールを飲みたい
自分のために
何かを見ている
70mmフィルムの
薄茶色
そこにあっても、映らないわけだが
もっと傷がつけばきっと手に馴染む
オイルの匂いが
あれはなんという名前の香水だろうか
話しているうちに
相手の目の中に驚愕と恐怖が隠れているのを見つけて
我に帰る
なんでもそう
話しすぎるのは良くない
本当のことが滲まぬうちに
我に帰るのが良い
何よりも 自分自身に対して
用心深くなれ
何故 思い出すのか
忘れるためである
何故 忘れるのか
それは 思い出す為である
ビショップとナイト
どちらかを捨てる
そのときに
そいつが現れるのではないか
誰かが来ているようだが
無視してくれ
それはいつだったか
夕暮れ間近の駅のホームに
多分、今別れてきたばかりのおばあさんたちが
あちらに四人
こちらに一人
向かい合ったホーム越しに
笑いあったり、手を振りあったり
すぐに入って来る列車の気配に
また、手を振りあって
忘備
多分これは完成しない。
が、
一つの画としてどこかで使いたい。
それを見ている者の顔を写すべきか。
言葉は
伝わらなくてはならない
だが
伝えたいのは
言葉ではない
言葉は
言葉とは
心の中にある何かが
あなたに伝えたい何かが
見えない形を纏ったもの
言葉があなたに届くとき
届いた言葉が イメージを紡ぐとき
私の中の何かと あなたに中に生まれる何かが
どうか
同じものでありますように
言葉は 願い
言葉は
証明できない 問い
二人の間に架けられる
幻想の橋
遠く
どこまでも
地平線の彼方まで
言葉は
祈り
足りないぐらいでいい
僕には
ちょっと不便なほうがいいんだ
便利すぎて 頭もだんだん使わなくなる
あれを持ったかな 忘れていないかな
そう 同じことを繰り返したい
いつもの場所に
同じ仕草で
財布を仕舞う
ときには 歩き始めてから
定期を持ち忘れて
慌てて取りに帰ったりする
でもそれでいい
明日からは 忘れないようにしようと
そう思うから
少し手間がかかっても
少し時代遅れでも
そこには理由がある
きらきらするライターも
何でもできる携帯電話も
僕のかわりに生きるロボットも
もしかしたら
買えるかもしれないけれど
要らない
この汚れたライターの傷も
携帯電話のカバーの傷も
僕が付けたものだ
いや
言うべきことなど 何もない
君が潜水艦なら
潜ることに 存在意義がある
見上げる あの水面の向こう
明るい空を 煌く星を
胸に抱いて 何処までも
溶けた夕陽が
幻の温度で
背中を赤く染めるけど
眼を閉じて
耳を澄まして
何処までも 何処までも
もし 君が
僕を名前で 呼んでいたなら
こんな風には 思い出さなかった
君が 僕に付けたあだ名
君だけの呼び方
こころのなかで
僕が それを思い出すとき
言葉は君の声
君の声で
聞こえてくる
優しい声をした 僕のもうひとつの名前
あれは確か
僕がまだ学生だった頃か
「今ここにいる僕らが五分後に行ける場所は限られる。駅には行けるかも知れないが、絶対に大阪には行けない。その積み重ねが人生だろう。」
「だから簡単に云ってしまえば、可能性は無限では無い。」
そういう、かなり否定的な文脈で、その言葉は持ち出された。
人生という曖昧な画の中に、物理的な制約を持ち込むような何ともお粗末な話だった。
何も彼も引き算で考えるくだらぬ僕の論理であったが、友人が閉口したにおさまらず、口にした自分自身が何とな く薄ら寒い心地がしたのは何故だったか
昨日の文章、随分前に考えていた「想うということ」の変形だろうが、何となく、あの予定未来という言葉を思い出した訳だ。それもあの頃は思い浮かばなかった肯定的な意味に於いて。
何かを想う
その 想うということ
そのことが
君を運んでゆく
何かがほしいとき
片手をのばして それをつかむ
それは とても大事なもの
しっかりつかんで 離してはいけない
君の手のひらの上に
小さな赤いりんご
それは小さな赤いりんご
だけど君には大事なりんご
でも、君は見つけてしまう
もうひとつの 小さな 赤いりんごを
それは同じくらい
小さくて 赤いりんご
君はそれをつかもうとして
精一杯手をのばしてる
だけど
それは つかめない
なぜなら
君の手のさきに 小さな 大事なものがある
そして
君の手の中にも 小さな 大事なものがある
ひとはふたつは手にできない
もうひとつの手には
自分自身があるから
それを望む 自分があるから
自分のほかには ひとつだけ
人はそれしか手にすることはできない
何かをつかむとき
それは 何かを放すとき
道の傍らに
赤いりんごが
落ちている
小さな 小さな 涙のように