常温の水にカエルを入れ徐々に熱くしていくと、熱湯になってもカエルは気づかず、
「ゆでガエル」になってしまうという寓話があります。
それを参考に、名付けて”サブリミナル的ゆでガエル作戦”です。
相手が気づくか気づかないくらいに、怒る相手と自分の関係性を少しずつ変化させて、
「この人(=こちら)を怒りによってコントロールすることは出来ないのだ」
「大人の対応をしないと、自分の話を聞いてもらうことは出来ないのだ」
ということを、”じわじわ”と無意識に働きかけていくのが狙いです。
前回までに、怒りやイライラをぶつけてくる人に対して、
”自分がその相手とどんな関係でいたいのか?”
それを踏まえて、その関係を実現するために、
まずは、”相手をどんな人だと見ると良さそうか?”について考えました。
続いて、その相手との関係性を調整していきます。
前回の例を使って考えてみます。
⚠️あくまでも一例ですので、実際には、個々の関係によって良さそうな対応案を考えます
●例① 望む関係:ビジネス上で上手く付き合うだけで良い
✔︎怒る相手に対して、どんな人と見る?
➡︎「自分を追い込んで無理せざるを得ない人なんだ」と見る
✔︎どんな風に関係性を調整する?
➡︎本音は懲らしめたいけど、実際は、相手はもう懲らしめられてる。
だって、怒りでストレス溜まるし、周りからも評価されにくい。
これ以上、追い込むのはやめておく。
⚫︎行動1)相手の怒りが収まらないようなら、「落ち着いたら、話してください」
怒っている間は、距離を置く
⚫︎行動2)怒りの理由が曖昧だったら、問題の焦点を絞ってもらう。
「その理由を具体的に説明してください」
→返ってきた内容が聴くに値すると思えば傾聴する。
⚫︎行動3)曖昧さを突き通すようであれば、それは無責任な怒りです。
これ以上付き合う必要はないので、「わかりました」とその場を終わりにする。
⚫︎行動4)直接やりとりせず、メールやメッセンジャーを利用する。
⚫︎行動5)代弁者となるような第三者に同席してもらって会話する。
※相手が「腫れ物」のような扱いを感じると、余計に怒り出すことになりかねないので、
代弁者は中立的な対応が出来る人が良いかもしれません。
これらは、できれば毅然とした態度で、淡々と対処する方が良いと思います。
思考と行動に一貫性を持たせた方が、相手に伝わりやすいです。
●例② 望む関係:重要な人で、良い関係を築きたい
✔︎怒る相手に対して、どんな人と見る?
➡︎「受け入れ難いことが発生して、何か事情があるんだな」と見る
✔︎どんな風に関係性を調整する?
➡︎どちらの正義が正しいかではなく、どんな事情があるのか知ろうとする
「あなたのことをちゃんと理解したいし、お互いを分かり合いたい」と伝えるのも良いと思います。
⚫︎行動1)相手の怒りが収まらないようなら、「落ち着いたら、話したい」
怒っている間は、距離を置く
⚫︎行動2)自分の思考は一旦脇に置いて、相手にとことん話してもらう。
あいづちや要約、確認などを適度に入れて。
「うん、そっか、そうだったんだね。それで?」
「今の内容、もう少し詳しく聴かせて。」
「それって、〇〇〇という内容であってる?」
特に弁が立つ人は、話していくうちに内容が整理され、客観的な思考になっていくと、
自己完結して怒りが落ち着く場合もあります。
⚫︎行動3)相手が落ち着いてきたら、お互いが納得できる落とし所を探るための建設的な会話に
持っていく。
・相手側の期待は何か?
・自分の期待と、どこが噛み合っていないのか?
・自分の期待についても、正直に誠実に話す。
⚫︎行動4)常日頃、考えや意見の食い違いがあった時に、
アサーティブ・コミュニケーションの考え方を取り入れて会話するのも有効です。 (↑行動2や行動3のような方法です)
関係性を調整する目的は、自分の心を守り、心の平安を取り戻すことです。
相手が変わるのを期待して待つより、自分から主体的に行動に出る必要があります。
ただし、自分の安心安全を最優先に守りながら、心を整えて落ち着いて、
本当に本当に少しずつ、自分のペースで、出来るところから。
一度や二度では効果が出なくても、『サブリミナル的ゆでガエル作戦』ですから、
焦らずに、じっくりじわじわで良いんです。