最後の歌謡曲は山口百恵と松田聖子だろう。
百恵が「さよならの向こう側」にマイクを置き永遠に去った時から僕も日本語の唄にはまったく興味をなくした。
時々偶然にテレビから日本の歌手やグループを観るが、踊り(ダンス)は同じパターン、唄は童謡ばかり。
そもそもエンタメ自体が痩せ細るばかり。漫才は独りよがりで薄っぺらい。映画も昔のような主張がないからヒリヒリしない。第一喜劇がなくなった。
最近は1940年代のシカゴブルースを聴くばかり。マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、マジック・サムなど。
このような唄を聴くとどうしてもテネシー州のウイスキー、ジャック・ダニエルを飲みたくなる。ジャック・ダニエル社は自社の酒をバーボンではなくテネシーウイスキーと呼ぶ。
東洋の貧しい農業国はフランスの植民地だった。この国は独立を求めた。フランスは当然抑えに掛かった。簡単だと思われた。だがフランス軍はディエンベェンフーで全滅する。これがインドシナ戦争である
後を継いだのがアメリカのベトナム戦争である。何しろアメリカに取って共産主義は悪魔に等しかった。
アメリカもベトナムを舐めていたのだ。軍事力の差は大人と子供ほども違う。だが北ベトナムの首都ハノイを重爆撃機で空襲してもジャングルをナパーム弾で焼いても北ベトナム正規軍と南ベトナム解放戦線(ベトコン)の指揮の士気は落ちなかった。
ベトナム戦争文学の名著と云われる開高健の、闇シリーズ3 部作にはアメリカ軍が戦闘ヘリやナパーム弾と共にジャックダニエルを持ち込んだと書いた。
アメリカ兵は敵の恐怖のために酒
やコカインやマリワナに頼るようになる。彼等はベトナム戦争に意義が見出だせないのだ。
南ベトナムの首都サイゴンのBARで1人のアメリカ兵がジャックダニエルを飲んでいた。だがしかけられたプラスチック爆弾が炸裂した。
アメリカ兵は脳味噌と身体の臓器すべてを床にばら撒き死んだ。彼の人生は何であったのか。
1975年、北ベトナム正規軍とベトコンは南ベトナムのサイゴンを総攻撃した。南ベトナムの責任者は降伏するしかない。事実上、南ベトナムは世界の地図から消えた。
アメリカ大使館は情報を把握していてサイゴンが陥落する前に戦闘ヘリで全員が洋上に待機してる空母エンタープライズに脱出した。つまりアメリカが始めて戦争に負けた瞬間だ。
何故アメリカは負けたのか?
決まってるじゃないか。
どれほど巨大な軍事力を持っていても国民が支持しない戦争は勝てないのだ。