今昔物語 | 錦鯉春助の冒険

錦鯉春助の冒険

日常の恐ろしき風景

 今昔物語とコンニャク物語を掛けてみました。


 今昔物語は平安時代末期の法話集であるが、コンニャク物語は高校時代の同級生Tの実話である。


 僕は高校時代に彼女が居たから、この時代の青年が経験する性の爆笑話しはない。


 さてTも性に対しては並々ならぬ興味を持っていた。特に女のあそこに挿るとどんな感覚なのか?


 それを考えると夜も眠れない。しかし、経験する場には勇気も金もなく行けない。


 そこで彼は代用品を考えた。コンニャクである。しかし男子高校生がコンニャクを買いにいけない。いやらしい事に使われるのだと思われるに違いない。


 悶々とした日々が過ぎ、家の冷蔵庫を開けるとパックに入ったコンニャクを発見したのだ!


 家族は夕方まで帰らない。これぞ神が与えたチャンスだ。彼はコンニャクをパックから取り出した。


 コンニャクの表面は真っ平らでツルツルだ。女のあれはもっと複雑なはずだ(この頃の少年は知識だけは凄いのだ)


 彼は包丁を取り出すとコンニャクの斜め右に隠し包丁を入れた。続いて交差するように斜め左に包丁を入れた。


 それから鍋にお湯を沸かしコンニャクを浸けた。人肌に温まると、コンニャクを丸め自分の反り返るブツに巻き、アイドル歌手の裸を想像して試した。


 Tの話しでは感激したらしい。それでコンニャクの中に白濁した液を吐き出した。


 身体から欲望が抜けると、彼はしまったと後悔した。母親は物凄く物事に細かく、冷蔵庫からコンニャクが紛失したのに気付くと騒ぎだすに違いない。


 Tはコンニャクを水道水で洗いパックに入れると冷蔵庫へ戻した。


 その夜、茶の間へ晩飯を食べに行ったTは卒倒しかけた。


 晩飯は「おでん」であのコンニャクが使われていた。1歳年上の巨乳の姉がばかばかコンニャクを食べていた。


「母さん、このコンニャク美味い。良く味がしゅんでる」

 姉が云った。


「最近のコンニャクは最初から隠し包丁を入れてあるわ」

 母親が答えた。


 Tは母親と姉が妊娠するのじゃないかと顔を挙げられなかった(知識は凄いがその知識が正しいとは限らない)


 Tの姉は高三で同じ学校にいた。僕は巨乳の彼女に廊下で会うたびに「君は弟の☓液塗れのコンニャク食べた」と話したい欲望を我慢した。


 1ヶ月後にTが僕に言った。

「お前、俺の姉ちゃんが好きなんか?確かにオッパイは大きいが」


「はぁ?」


「廊下で会うたびに錦鯉君は何か言いたそうなの。私と付き合いたいならOKと言っといてやて。結婚だけはあかんぞ。俺はお前の義弟になりたくない」

 男女の間には常に誤解あり。


 Tは大学の教育学部を卒業すると小学校の教師になり何と校長まで昇りつめた。家では厳格な父親らしい


 僕は彼の子供達にぜひ言いたい「君達の父ちゃんな、高校の時にコンニャクで.......」