玄関先の妻 | 錦鯉春助の冒険

錦鯉春助の冒険

日常の恐ろしき風景

 2023年の日本の出生者は75万人である。20年するとこの数字は分母になるから如何に日本が少子化か分かる


 太平洋戦争の敗戦が昭和20年8月


 昭和22年、23年、24年。この3年間に生まれた子供達が後に堺屋太一が名付けた《団塊の世代》だ


 他に《エコノミックアニマル世代》《猛烈社員世代》《全共闘世代》とも呼ばれた


 この世代から毎年260万人以上の子供が生まれた。3年でトータル800万である。現在の大阪府の人口が3年で出現した事になる


 何故3年もベビーブーマー時代が続いたかと云えば外地に出征してた日本兵がバラバラに帰国したからだ


 太平洋戦争だから太平洋の島々から帰国したと思いがちだが、ガダルカナルや硫黄島のように島々では玉砕を始めとして全滅が多い


 アジアからの帰国が多いが彼等も生きて帰れるとは思っていなかった


 相手は敵兵だけではない。飢餓やマラリアで命を落す日本兵は少なくはなかった


 出征してから4年後に噓野勝男は舞鶴に帰国船で戻ってきた。生きて帰れるとは思ってなかった。玄関を開けると丁度妻の笹絵が立っていたのだ。たちまち笹絵の瞳から涙が溢れた


「勝男さん!」

「笹絵!」


 生き死の闘いを繰り広げていた頃は毎日が地獄絵図だった。再び女房に会えとは思わなかった。今は手を伸ばせば触れられる所に女房がいる


 勝男は妻を冷たい板張りの廊下に押し倒すとモンペとズロースを毟り取り開脚させて観音様を剝き出したこれが平和なのだ。俺達がひれ伏すのは天皇ではなく観音様なのだ。


 あああああ!夢にまで見た観音様だ。二度と拝めぬと思った観音様だよ!俺が死んでいたら他の男が弄んだ観音様だ!もう誰にも渡さない!


 勝男は観音様を眺めながら感極まり泣き出した


 妻の笹絵も嬉しかった。自分の身体で泣いてくれる男がいる


「貴方来て!早く!」


(⁠*⁠⁠*⁠_⁠*⁠)(⁠*⁠_⁠*⁠)合体(⁠*⁠_⁠*⁠)(⁠*⁠_⁠*⁠)


「!貴方!太くて長くて硬いわ!」 


「ああ!笹絵!ジェリー状にネチネチして熱い!」


 ふたりは板張りの上で合体した。獣のように叫び噛みつき貪り合う。

抜かずの5連発だ。ノーガードの撃ち合いである。子供が出来るはずだ


 団塊の世代は後期高齢者に突入したがまだ700万人が健在である。彼氏・彼女等が95歳になる20年後は流石に100万人を切るだろう。しかしまだ少子高齢化は終わらない


 昨年の75万人がどれほど子供を産むか?75万と言ってもペアにすると37.5万組。

 

 甘々に計算して30万組が結婚したとする。1人子供を産むと30万人。2人子供を産んでも60人万


 分母を超える数(人口増加数)は3人以上の子供を産まねばならないのだ。一旦分母が細り始めると際限なく細る


 恐らく2100年の日本の人口は6~5千万人までに減少するだろう


 だが安心しなさい。これを書いてる僕も、これを読んでいる君もとっくに死んでるからだ