/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/
アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス(メキシコシティ)
(Formula 1®から抜粋)
コース長:4.304 km
レース距離:305.354 km(71 laps)
特徴:・海抜2,200 m以上の高地にある中速サーキット
・セクターごとに特色が異なり、低速から高速まで様々なタイプのコーナーで構成される
・PUの冷却系やブレーキに厳しい
・スリップストリームやDRSの効果が小さくてオーバーテイクしにくい
・主なオーバーテイクポイントはターン1、ターン4
タイヤのコンパウンド:C2、C4、C5(硬い〜軟らかい)
/*・・・Qualifying:予選・・・*/
PP 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
2位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
3位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
4位 63 G・ラッセル(メルセデス)
5位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
6位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
7位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
8位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
9位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
10位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
11位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
12位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
13位 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
14位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
15位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
16位 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
17位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
18位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
19位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
20位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
Pole Position Time:1:15.586(204.99 km/h)
Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP time と同じ
/*・・・Race:決勝・・・*/
WIN 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
2位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
3位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
4位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
5位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
6位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
7位 63 G・ラッセル(メルセデス)
8位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
9位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
10位 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
11位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
12位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
13位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
14位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
15位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
16位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
17位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
Ret 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
Ret 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
Ret 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
Ret:Retire/リタイア。
Winner's Time:1:37:58.574(187.00 km/h)
Fastest Lap Time:1:20.052(193.55 km/h @lap 50)
63 G・ラッセル(メルセデス)
/*・・・Winner and Losers:クリフハンガー・・・*/
優勝はノリスでした。今シーズン6勝目。通算勝利数は節目の10勝目。またノリスの勝利はサマーブレイク前の第14ハンガリー以来、6戦ぶりとなりました。これほどまでにノリスが勝っていないなんて、今シーズンの活躍から考えるとちょっと意外な感じもします。
でも、今週末のノリスは金曜日からほぼ完璧だったと思います。フリー走行の1回目をパトリシオ・オーワードに譲ったことで走行機会を60分間失ったものの、今回のノリスにはそんなハンデはあってないようなものでした。予選でもチャンピオン争いの直接のライバルであるピアストリとフェルスタッペンを蹴散らして、その勢いのままレースでもまさに影をも踏ませぬドライブで圧勝しました。サマーブレイク以降は、速さは見せつつもなかなか勝利に結びつけることができませんでしたが、ここでようやくノリスとマクラーレンの本来の速さを見せつけてきました。
今シーズンのノリスの勝利をぼくの視点で振り返ってみると、メルボルン(オーストラリア)もモナコもシュピールベルク(オーストリア)も結構な接戦の辛勝でしたし、シルバーストン(イギリス)はピアストリのチョンボで譲ってもらったようなものでしたし、ハンガリーも正攻法の勝利ではなかったと思います。今回のポール・トゥ・ウィンこそ、多くのノリスファンが待ち望んでいた勝ち方だったんじゃないでしょうか。ここにきてチャンピオンシップでもトップに躍り出ましたし、最近特に乗れているように見えますし、これからどれだけ勝っていけるのか注目です。
2位はルクレールでした。最後はヒヤヒヤしましたが、ヴァーチャル・セーフティカー(VSC)の導入にも助けられてなんとか2位をキープできて良かったです。正直に言うと、今回のフェラーリで1回ストップで走り切るのは大変だったと思います。でも残念ながら、ここ最近のフェラーリで好結果を残すにはこの方法しかないようですね。そしてルクレールはいつもその茨の道を進まざるを得ませんし、実際にそうしてくれています。本当にチームに貢献してくれていると思います。チームもこのルクレールの尽力に報いてほしいものです。
3位はフェルスタッペンでした。今回は前戦までの勢いをやや失った感がありました。予選では5位、決勝でもなんとかポディウムには上がれたものの、結構薄氷ものでした。ぼくの認識では、金曜日の時点でレッドブルはミディアムタイヤが決して速くない代わりに、ソフトタイヤではそこそこ速いという認識を持っているはずだと思っていましたが、結局彼らが重要なスタートに選んだのはスタートダッシュに劣り、ペースも遅いミディアムタイヤだったのは少し驚きでした。案の定レース序盤は集団でのバトルを強いられ、先頭の2台から大きく引き離されてしまいました。それでもソフトタイヤに交換後に3位まで上がってくるところはさすがフェルスタッペンです。まぁ、今回はもしソフトタイヤでスタートしてもおそらく2位が精一杯でしたでしょうけどね。
そして4位はなんとベアマンが掴み取りました。これは素晴らしいですね。途中まではポディウム獲得かというドライブで、あわや1シーズンにルーキーが3人も3位を獲得するのかという状況にドキドキしました。さすがに速さを取り戻したフェルスタッペンに対抗することはできませんでしたが、十分健闘したと思います。特にレース序盤、フェルスタッペンがハミルトンとのバトルでもたついた隙を突き、オーバーテイクしたシーンは印象的でした。その後のペースも良く、決して運だけではない実力も感じましたし、この1戦だけで彼の才能の片鱗を見せてくれました。あとは安定感ですかね。是非ともベアマンがもう1度ポディウムにチャレンジできるチャンスできればあればいいなと思います。
5位はピアストリでした。ここでのノリスの勝利で、とうとうチャンピオンシップ首位の座から陥落。ピアストリとしても、まさかノリスに対して、予選でもレースでもここまで大きく差をつけられるとは思っていなかったのではないでしょうか。しかし、あの悪夢のバクー(アゼルバイジャン)以降、ポディウムに上がれていないというのはちょっとした異常事態です。抜群の安定感を見せていたシーズン中盤までが嘘のようですね。チームは今回のピアストリの遅さの原因を掴んでいるような発言をしていましたが、果たして次回以降ピアストリの復活は見られるのでしょうか。いよいよ正念場を迎えました。
あと、ハミルトンは無念の8位でした。予選までは良かったんですけどね。最近は予選はルクレールと同程度のタイムが出せるようになってきましたが、レースペースが不安定に見えます。基本的にルクレールには遅れていますし、レース中にも1ラップだけガクッとペースが落ちる時があります。やはり、今の段階でもマシンの乗りにくさが解消されていないのでしょうか。1ラップあるいは数ラップではごまかせても、レースの距離で安定したラップを刻むのは難しいのかもしれません。
まぁ今回に関しては、6周目のターン4でフェルスタッペンにわずかに前に出られた後にコースアウトしたという状況にもかかわらず、順位を譲れなかったのが痛かったです。あそこでフェルスタッペンを前に出していれば、最終結果はもう少しいい順位だったかもしれなかったですけど、すぐ後ろがベアマンに代わっていたので仕方ないかもしれませんね。こういう時って、ペナルティを受けるか、あるいは関係ない第3者にも順位を譲るかを選択しなければならず、これといった定石がなくて判断が難しいものです。でも10秒ものペナルティをもらうことに比べたら、ベアマンを含めてフェルスタッペンに譲っても悪くなかったかもしれませんが、どうでしょうね。
/*・・・Comment:トラックリミットの限界・・・*/
今回のレースで最も注目を浴びたことの1つは、スタート直後のコース外走行(ショートカット)でしょう。ただでさえ重要度が増しているスタート直後の順位ですから、この問題は非常に大きいと思います。誰とは言わないですが、あえてコースアウトするスピードでコーナーに突っ込んで、悪びれることなくコースに戻るということが非常に多かったと思います。その彼らは大概、コースアウトする直前に争っていたドライバーの前で戻っていて、まるでワープしているかのようです。SFならそれもありですが、ぼくが見たいのはレースです。そしてそういう「ズル」をした後に、ペナルティをもらわないように順位を譲るみたいな興醒めな光景が多く見られたのはとても残念でした。
そういったコース外走行をした彼らとは反対に、ちゃんとトラックリミットを守ったアロンソやラッセルが不満を漏らす気持ちはとても分かります。ですが現行のルールに照らしてみても、彼らはルールを逸脱している訳ではないので、彼らを悪いと断罪することもできない訳です。でも個人的には突っ込みすぎて行き場をなくして順位を失うことも含めてレースだと思っているので、少々納得いかない気持ちもあります。
このコースではもう何年も前から同じ光景を見てきましたが、翌年は手を打ってくるだろうと、ぼくも楽観的でいました。でももうそれもそろそろ終わらせるべきかなと思います。スタート直後であればコース外走行を完全に認めるか、それともそれをすると大きなペナルティを払うことにするのか、いいかげん決着してほしいです。前者なら障害物競走のようになって名物になるかもしれませんし、後者ならモンツァ(イタリア)のターン1のように複雑な走路に変更することもできるでしょう。
どちらにしても、またそれ以外のことをするにしても時間も予算もほどんどかからないと思います。来年こそは何らかの手を打っていることを期待しています。
/*・・・Next:サンパウロ・・・*/
次回はF1で唯一の南アメリカでの開催となる、ブラジルでのサンパウロ・グランプリです。舞台はインテルラゴス・サーキットです。この時期のサンパウロは意外と雨も多いですし、晴れたら晴れたで暑くなりますし、なかなかドライバーやチームにとっては難しく、見てる側にとってはあっと驚く面白い展開になることが多いですね。
インテルラゴス・サーキットは、敷地内の池を回り込むように伸びる、全長が8 km近いロングコースでしたが、1990年に改修されて以来現在の4.3 kmのコースが維持されています。現在でも上空から撮影された画を見たら旧コースの面影をたどることができます。改修で約半分に短縮された訳ですが、正直ちょっと短くしすぎた感はありますね。個人的には5〜6 kmくらいあると面白そうだなと思うんですけどね。
トラックの特徴は、主にトラックのアウターに位置するセクター1と3が高速セクションでスロットルの全開率が高く、インフィールド・セクションのセクター2がくねくねした加減速を伴う低速セクションとなっています。ストレート(全開区間)の最高速も、インフィールドのコーナリング・スピードや安定感も両方重要となり、非常に要求の高いコースです。また、全開区間の長さから比較的抜きやすいトラックだとも言われています。
ここは海抜800 mほどの高地に位置していて、NAエンジンを使用していたときは出力低下などが勝負を左右する要因の1つとなった時期もありましたが、現在はターボがついているので正直あまり他のサーキットと変わらないですね。何より高地といってもメキシコの3分の1ほどですから、それに比べたらって感じかもしれませんけどね。
そしてチャンピオンシップの行方も楽しみです。メキシコでの圧勝を見せた後、サンパウロでノリスがどんなレースを見せてくれるのか。またマクラーレンの見解だと、サンパウロではピアストリも復活した走りを見せてくれるはずです。そしてスプリントで圧倒的な強さを誇るフェルスタッペンがどこまでマクラーレンに食い下がるか、あるいはポイント差を詰めるのか。またフェラーリ、メルセデス、レッドブルの三つ巴のコンストラクターズ・チャンピオンシップ争いはどんな展開を見せるのか。まだまだ興味は尽きません。
/*・・・Featured Corner:エス・ド・セナ(ターン1〜2)・・・*/
やはりこのトラック最大のオーバーテイク・ポイントはターン1以降に待ち構えるエス・ド・セナでしょう。ホームストレートを全開で通過した直後に急減速し、曲がりくねりながら急降下する非常に難しいコーナーです。このコーナーは、先ほど触れた旧コースから改修された際に、アウター・セクションからコースの内側にショートカットするように造られたため、その2カ所の高低差からちょっとした崖のようになっているのです。ただでさえミスを誘発しやすいコーナーですが、雨が降るとさらに難易度が上がり、F1でさえクラッシュしてしまうドライバーがいるほどです。勝負どころとなるコーナーなので、そうなってしまうのも必然かもしれませんけどね。
また、ここで抜けないことは織り込み済みで、次なるオーバーテイク・ポイントとなるターン4に向けて前走者にできるだけ近づくために使用されることもあります。例えばこのエス・ド・セナで勝負されることを危惧してホームストレートで全力でディフェンスしてしまうと、ターン3の先からの全開区間でパワーが手薄になって勝負を挑まれてしまうこともあります。またこれを逆手に取って、全体的なペースは遅くても、速いマシンからオーバーテイクを防ぐことができたりもして、とても白熱した展開が見られるのもいいですね。このあたりの駆け引きの上手下手でドライバーの力量が分かるのは興味深いです。
激しいバトルが見られることを期待しています。
