F1第21戦はブラジルでのサンパウロ・グランプリでした。ここにきてチャンピオンシップの流れは大きく変わったような気がします。このままいくと、ドライバーズ・チャンピオンシップはシーズン最終戦を待たずに決着ということすらあるかもしれませんね。
/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/
アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(サンパウロ)
(Formula 1®から抜粋)
コース長:4.309 km
レース距離:305.879 km(71 laps)
特徴:・高速区間とテクニカル区間が組み合わされた中高速サーキット
・高低差が大きく、路面にアンジュレーションもある
・海抜700 mの高地にあるためPUへの負担が比較的大きい
・初夏で雨季のため高温になることも、雨に見舞われることもある
・主なオーバーテイクポイントはターン1、ターン4
タイヤのコンパウンド:C2〜C4(硬い〜やや軟らかい)
/*・・・Sprint Qualifying:スプリント予選・・・*/
TOP 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
2位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
3位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
4位 63 G・ラッセル(メルセデス)
5位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
6位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
7位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
8位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
9位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
10位 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
11位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
12位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
13位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
14位 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
15位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
16位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
17位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
18位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
19位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
20位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
SQ3 Top Time:1:09.243(224.03 km/h)
Fastest Lap Time Throughout the Weekend:SQ3 Top time と同じ
/*・・・Sprint:スプリント・・・*/
WIN 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
2位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
3位 63 G・ラッセル(メルセデス)
4位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
5位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
6位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
7位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
8位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
9位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
10位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
11位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
12位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
13位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
14位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
15位 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
16位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
17位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
18位 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
Ret 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
Ret 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
Ret:Retire/リタイア。
Winner's Time:53:25.928(116.06 km/h)
Fastest Lap Time:1:12.120(215.09 km/h @lap 11)
4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
/*・・・Qualifying:予選・・・*/
PP 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
2位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
3位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
4位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
5位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
6位 63 G・ラッセル(メルセデス)
7位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
8位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
9位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
10位 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
11位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
12位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
13位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
14位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
15位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
16位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
17位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
18位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
19位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
Pole Position Time:1:09.551(223.16 km/h)
/*・・・Race:決勝・・・*/
WIN 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
2位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
3位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
4位 63 G・ラッセル(メルセデス)
5位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
6位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
7位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
8位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
9位 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
10位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
11位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
12位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
13位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
14位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
15位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
16位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
17位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
Ret 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
Ret 16 C・ルクレール(フェラーリ)
Ret 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
Ret:Retire/リタイア。
Winner's Time:1:32:01.596(199.43 km/h)
Fastest Lap Time:1:12.400(214.26 km/h @lap 59)
23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
/*・・・Winner and Losers:リア王・・・*/
優勝はノリスでした。シーズン7勝目。通算11勝目。チャンピオンシップも2位のピアストリに24ポイント差、3位のフェルスタッペンには49ポイントもの大差をつけて独走状態に入りつつあります。ピアストリはともかく、フェルスタッペンは今度こそほぼ終戦と言っていいかもしれません。しかし、ザントフールト(オランダ)でリアイアを喫した時は、その6戦後にノリスがチャンピオンシップをリードするなんて誰が予想できたでしょうか。ぼくも、2016年のメルセデス・ドライバーどうしのチャンピオン争いの事例を持ち出してノリスの不利を予想しましたが、完全に予想が外れましたね。すみませんでした。
今回のノリスのドライブは並外れていました。スプリント予選でポールポジション、スプリントでファステストラップを獲得して優勝、グランプリ予選でポールポジション、決勝レースで優勝とほぼ週末を完全制圧しました。今シーズン、ノリスがここまでの圧倒的な速さを見せたのは初めてです。シーズン終盤のこの大事な時期に、ギアをさらに1段上げてきました。次のラスベガスではチャンピオンは確定しませんが、そこでの結果次第では2戦を残してほぼチャンピオンが決定という事態もありえます。シーズン中盤までのcチャンピオンシップの緊張感の嘘のようですね。
2位はアントネッリでした。モントリオール(カナダ)以来、F1で自身2度目のポディウム獲得となりました。今回アントネッリが素晴らしかったのは、スプリント予選、スプリント、本予選、決勝のすべてで2位だったことです。つまり週末のほぼすべてでノリスの直後だったということも意味するので、本人としては嬉しくないかもしれませんが、最速ではないマシンでルーキーが挙げた成績としては申し分ないものだったと思います。でも、その中でもスプリントだけは唯一ノリスに勝てそうな瞬間だったので、そこだけはちょっともったいなかったかなと思います。
3位はフェルスタッペンでした。今回はフェルスタッペンが得意とするスプリント・フォーマットの週末だったので、彼がノリスにどこまで迫るのか興味津々でしたが、決勝レースがスタートするまでは本人も、あるいはおそらくF1のチャンピン争いを楽しみにしていた人々にとっても、落胆の結果でした。中でもグランプリ予選は最悪で、フェルスタッペンがトラブルのないマシンで全力でアタックしてQ1を突破できなかったというのは、ぼくもあまり記憶にありませんでした。
でも、ペナルティを受けてセッティングを変更して、ピットレーンからスタートしてポディウム・フィニッシュという結果は素晴らしかったと思います。何せ、予選後にセッティングを変えてからは全力でドライブできずにいきなり決勝ですからね。十分な準備もなくいきなり速く走ることができるドライビング能力の高さと、予選で1度は外してしまったとは言えフェルスタッペンのセッティング能力の高さとがとても印象的でした。フェルスタッペンにとっては、「最悪」と言えるうちはまだ本当の最悪ではないのかもしれません。
ただし、今回の決勝のフェルスタッペンは少し残念でした。それは、終盤レースリーダーに立った後にタイヤを交換してしまったからです。レッドブルは「タイヤが保たなかったから交換した」という説明をしていましたが、フェルスタッペンが「失うものがない」と言っていた割には戦略の方は弱腰だったと思ったのはぼくだけでしょうか。
確かにペースを見ればノリスは防ぎきれなかったとは思います。でも、メルセデス勢が追いついてくる頃には彼らにもフェルスタッペンを攻略できる力が残っていただろうとは思えませんでした。しかもフェルスタッペンのデフェンスの上手さと、フェルスタッペンに対してアントネッリがオーストリアでの負い目、あるいは「貸し」を作っていることを考えたら、フェルスタッペンが余程遅くない限り、アントネッリは無理に仕掛けてこなかった可能性は十分あったと思います。少なくともブレーキにトラブっていたラッセルはフェルスタッペンを抜くことはできなかったと考えられます。この辺りの読みがあれば、フェルスタッペンにタイヤ交換させないことは十分勝機のあるギャンブルじゃないかと思いましたけど、どうでしょうかね。まぁフェルスタッペンにとっては、2位18ポイントも3位15ポイントも大きく変わらないというのが本当のところかもしれませんが。
そしてノリスの最大のライバル、ピアストリは5位でした。またスプリントでもクラッシュしてノーポイントだったため、レース後にはノリスに大量23ポイントもの差をつけられてしまいました。前戦メキシコ後のマクラーレンの説明では、ピアストリは滑りやすい路面を苦手にしているということだったのでサンパウロではピアストリらしいドライブが復活するかな、と期待していました。確かに今回はメキシコに比べれば多少良かったように見えましたが、ノリスと比べると今ひとつ精彩を欠いていた感じは否めませんでした。もしこのようなことが続くとチャンピオン獲得はおろか、チャンピオンシップの2位維持すらも困難に思えてきます。どうなってしまうのか、これからも楽しみに見ていきたいと思います。
最後に、フェラーリ勢は全滅でした。スプリントでかろうじて数ポイントを挙げていたのでノーポイントでブラジルを後にするということにはなりませんでしたが、この週末でコンストラクターズ・チャンピオンシップは4位に転落。2位から大幅に後退しました。今回までのライバル(メルセデスとレッドブル)のレースを見る限り、個人的には非常に悲観的です。チャンピオンシップ2位は難しい気がしますね。
ルクレールに関しては、今回も貰い事故でダメージを負ってのリタイアでした。このシーズン終盤にマシンにダメージを負ったことはとても痛いですね。クラッシュのシーンを振り返ると、セーフティカー明けのターン1で内側のアントネッリに対して十分なマージンを取っていたので、ルクレール自身には落ち度はなかったと思います。結構な無理をして突っ込んできたピアストリと、まるでそれが見えていなかったかのようにイン側を閉めてしまったアントネッリによって引き起こされたアクシデントに巻き込まれただけでした。
返す返すも、あのピアストリのターン1でオーバーテイクを仕掛けようとした判断は楽観的すぎだと思います。しかも、彼がスタートやリスタートで判断ミスをするのは今回が初めてではありません。シーズン中盤まで確実視されていたワールド・チャンピオンがまるで手からこぼれ落ちていっているように感じていて、気持ちに余裕がなくなっているのかもしれませんね。アントネッリに関しても、コントロールを失っているように見えるピアストリが突撃してきているのが見えていたのならもう少しマージンを取っても良さそうでしたが、ドライビング・スタンダードに沿った動きとはいえ、接触上等であまりにも極端に進路を塞ぐようなラインを取っていたように感じました。そう考えると、今シーズンのルクレールは本当に持ってないですね。
ハミルトンに関しては、サインツと接触してしまい、最初から流れが悪かったですね。その後コラピントと接触してしまったことはハミルトンにすべての責任があると思われるので、今週末は彼にとって最悪でした。まあ、コラピントとの接触がなくてもギリギリでポイントを獲れていたかな、くらいなのでどのみちあまりいい週末ではなかったでしょう。でも、どうしてコラピントに対してあんな動きになってしまったのかはすごく気になります。今回はあまりハミルトンらしくないレースでとても残念でした。
/*・・・Next:ラスベガス・・・*/
今シーズンのF1も残り3戦となりました。残りの3戦の舞台はすべて砂漠地帯なので、砂漠の3連戦となります。その緒戦は世界一の歓楽街、ラスベガスでのナイトレースです。この時期のラスベガスの夜は寒いので、もはやそれがこのグランプリの名物となっています。
舞台は、誰もがどこかで目にしたことがあるであろう有名なストリップ(ラスベガス・ブルバード)の一部を舞台とした特設市街地コースとなります。周りは有名な超高級ホテル街で、カジノの看板のネオンが眩しくきらめきます。ナイトレースはこの光景を意識しているんでしょうけど、夜にレースをするのならもう少し暖かい時期にやってもいいのかなと、個人的には思いますけどね。
このコースの目玉はもちろんストリップのロング・ストレートで、このコース幅の広いストレートがあるため市街地コースなのにもかかわらずオーバーテイクが比較的多いことが魅力です。ただコース自体は流れるような高速区間の中にちょこちょこ低速コーナーがレイアウトされた典型的な市街地コースです。しかし平均スピードは予選で240 km/hオーバー、最高速も350 km/hに迫るなど非常に高速で、バクー(アゼルバイジャン)以降の流れをくんだ現代的なストリート・コースと言えます。高速コーナーはなく、非常に長いストレートがあるため寒い中でタイヤを温めるのは非常に困難を極めます。この辺りも予選やレースの行方を左右すると思われます。
/*・・・Featured Corner:ターン12・・・*/
このコースの最大のオーバーテイク・ポイントはストリップに設けられたバックストレート・エンドのターン14です。ただこの2 km近くにも及ぶストレートの起点となるターン12が非常に重要なコーナーとなります。オーバーテイクするには、この直角コーナーでできるだけ先行車に近づくことが必要で、ここからの立ち上がりが追い抜きのための決め手となります。そういうこともあって、ここはミスやオーバーシュートなどが意外に多いコーナーでもあります。
レイアウトのパターンとしては、このターン12までのセクションはバクーのセクター2に近いかもしれません。ここのターン12は、下り勾配ではないもののバクーのターン15あるいはその直後のターン16に近い感じがします。非常に低速のターン7〜9をクリアして、その後に高速のターン10、11を越えて直角のターン12を迎えるところは、バクーのターン8〜15、16にそっくりです。しかもその後にものすごく長いストレートがあるところまで似ています。まぁ、サーキットの設計者はどちらも同じですからね。こういう小さなところを観察して、設計者の癖というか、意図みたいなものを感じられるのも面白いですね。
痺れるようなバトルがたくさん見られることを期待しています。
