F1もついにヨーロッパ・ラウンドに突入。その皮切りはモナコ・グランプリでした。かつてヨーロッパラウンドの初戦は「第2の開幕戦」と言われ、開催地は本格的なパーマネント・サーキットでそこに大幅なアップデートがたくさん持ち込まれたものですが、さすがに市街地サーキットのモナコはそういうことはなかったようでした。やはりモナコはモナコ。シーズンに1回くらいこういうレースがあってもいいですよね。
/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/
シルキュイ・ドゥ・モナコ(モナコ)
(Formula 1®から抜粋)
コース長:3.337 km
レース距離:260.286 km(78 laps)
特徴:・コース幅が狭くて曲がりくねった低速市街地サーキット
・グランプリで唯一レース距離が260 kmに設定されている
・路面はバンピーでアンジュレーションもある
・ほとんどのコーナーは低速コーナーで、高速コーナーがほぼない
・主なオーバーテイクポイントなし
タイヤのコンパウンド:C3〜C5(標準〜軟らかい)
/*・・・Qualifying:予選・・・*/
PP 12 K・アントネッリ(メルセデス)
2位 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)
3位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
5位 6 I・アジャー(レッドブル)
6位 63 G・ラッセル(メルセデス)
7位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
8位 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
9位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)
10位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・レッドブル)
11位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
12位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
13位 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)
14位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス)
15位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)
16位 5 G・ボルトレート(アウディ)
17位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
18位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)
19位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
20位 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)
21位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)
22位 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)
Pole Position Time:1:12.051(166.73 km/h)
Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP Time と同じ
/*・・・Race:決勝(2026/06/13:更新)・・・*/
WIN 12 K・アントネッリ(メルセデス)
2位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
3位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)
4位 6 I・アジャー(レッドブル)
5位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
6位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・レッドブル)
7位 41 A・リンドブラッド(レーシングブルズ・レッドブル)
8位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
9位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
10位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)
11位 5 G・ボルトレート(アウディ)
12位 63 G・ラッセル(メルセデス)
13位 27 N・ヒュルケンベルグ(アウディ)
14位 43 F・コラピント(アルピーヌ・メルセデス)
15位 11 S・ペレス(キャデラック・フェラーリ)
16位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
Ret 16 C・ルクレール(フェラーリ)
Ret 18 L・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)
Ret 1 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
Ret 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
Ret 77 V・ボッタス(キャデラック・フェラーリ)
Ret 3 M・フェルスタッペン(レッドブル)
Ret:Retire/リタイア。
Winner's Time:2:23:31.243(108.81 km/h)
Fastest Lap Time:1:13.481(163.49 km/h @lap 76)
12 K・アントネッリ(メルセデス)
/*・・・Focus On:波乱・・・*/
優勝はアントネッリでした。この勝利でアントネッリは自身の初優勝からの5連勝を達成しました。しかもグランドスラム(※)も達成。もちろん史上最年少記録です。ジンクスによると、あるシーズンで5連勝を達成したドライバーはそのシーズンのチャンピオンに輝くそうです。まさかシーズン6戦目の時点で史上最年少ワールド・チャンピオンが決まってしまうなんて誰が想像したでしょうか。なんともせっかちなシーズンです。
でも、まだF1で2年目、19歳の若者が世界で最も獰猛なマシンに乗って、モナコという狭くて少しのミスも許容されないトラックで誰よりも速くドライブしてしまうのだから、素晴らしい以外の言葉が思い浮かびません。若くしてこんなドライブができるのですから、少し気が早いですが、モナコでの最多勝利数記録すらも更新されてしまうかもしれません(現時点の最多勝はアイルトン・セナの6勝)。一体アントネッリのこの勢いはどこまで続いてしまうのでしょうか。
2位はハミルトンでした。モントリオール(カナダ)から続けて2戦連続のポディウム獲得。これは現在のチームの立ち位置を考えれば素晴らしい結果です。でも正直に言うと、今回のモナコはもうひとつ上の結果を期待していたので、ポディウムの獲得が嬉しかったのは確かですが、その反面を残念な気持ちが占めました。でも、レッド・フラッグで中断した後でリスタートした時のメルセデスの速さを見てしまうと、2位を受け入れざるを得ないですね。
同じくポディウム争いが期待されたルクレールは、得意のコースで予選トップ3を逃しただけでなく、決勝でもクラッシュしてノーポイントと、地元モナコでまったく良いところがありませんでした。モントリオールから引き続きブレーキの調子が思わしくないようで、それが改善されていないことも含めて、今回のルクレールとチームには本当に失望しました。次回からは本格的なサーキットが続くので、早急に対策してほしいものです。
フリー走行から見ていると、今回のメルセデスは今ひとつ決まっていないように見えた一方、フェラーリの初日はほぼ完璧だったので、ここしばらく勝利から遠ざかっているスクーデリアには否が応でも期待してしまうものです。でも土曜日になるとメルセデスが本領を発揮し始めただけでなく、レッドブルにまでも先行されてしまいました。次はいつ優勝争いできるのでしょうか。逃した魚は大きかっただけにとても悔しいです。
3位はアジャーでした。予選5位から殊勲の3位です。地元フランスでF1が開催されないアジャーとしてはここモナコが地元グランプリみたいなものだったので良かったと思います。反対に決勝で3位でフィニッシュしながらタイムペナルティを受けてポディウムを失った、同じくフランス出身のガスリーは残念というほかありません。マシンの出来で言えば、トップチームのレッドブルやマクラーレンを差し置いてポディウムを獲得するなんてことは滅多にあることではないので、ガスリーにとっては本当に辛いレースだったと思います。
そうは言っても、アジャーにとってもこれほど苦しんだレースはなかったかもしれません。途中でPUの調子が悪くなり、ペースが1秒以上速いラッセルから防戦一方となってしまいましたからね。ボクシングなら「サンドバッグ状態」だったと言えるかもしれません。途中諦めればいつでも楽になれたはずですが、モナコの抜きにくいという特性も手伝って、決して諦めずポジションを死守した姿には少し感動しました。
とはいえ、アジャーがポディウム・フィニッシュできた要因のうち1ポジション分は、チームメイトのフェルスタッペンのリタイアによるものだったと言えるかもしれません。フェルスタッペンが完走できていた世界線のレースも見てみたかったですね。でも、正直モナコでレッドブルが予選で2位を獲得するということは想像していませんでした。フェルスタッペンの凄さを改めて感じた予選でした。
さて、今シーズンの主役と言われていたラッセルはまたしても不運にまみれて12位と、入賞圏外でのフィニッシュとなってしまいました。ピットストップでのクルーのミスが高くつきましたね。ラッセルは元々市街地コースの様な低グリップ路面のトラックが得意ではないと認めていますが、まさかノーポイントで終わるというシナリオは予想していなかったことでしょう。しかも2戦連続のノーポイントです。対してライバルのアントネッリは2戦でフルマークの50ポイント。加えて上で言ったジンクスによると、もうラッセルにチャンピオン獲得の可能性はないということになります。
でも、昨シーズンにアントネッリがなぜか失速したヨーロッパ・ラウンドで、彼がその失速原因を掴んでいなければまだ勝機は十分すぎるくらいあるでしょう。5連勝のジンクス?そんな迷信はラッセルも5連勝を達成すればあっという間に雲散霧消します。だいたい22戦(とスプリント6戦)の中の5勝の占拠率はせいぜい20%強です。だからシーズンのこの時点では、まだ何も悲観することはないでしょう。ラッセルならばチャンピオンシップをもっと面白くしてくれるはずです。
(※)グランドスラム
予選Q3で最速タイムを記録してポールポジションを獲得、レース全体のファステストラップを記録、すべてのラップで1度もオーバーテイクを許すことなくリードラップを記録、優勝という4つの命題を1度のグランプリ・レースで達成すること。
/*・・・Next Grand Prix:バルセロナ-カタロニア・・・*/
シルクイート・ダ・バルサローナ-カタルーニャ(バルセロナ)
次回はバルセロナ-カタロニア・グランプリです。舞台はモナコから地中海に沿って西へ約700 km、カタロニア・サーキットです。この移動距離を見るといよいよヨーロッパ・ラウンドに突入したんだなと感じます。
このトラックは、高速コーナーから低速コーナーまで幅広く様々なコーナーがレイアウトされ、長いストレートも兼ね備えた「標準的な」パーマネント・サーキットです。そのレイアウトの完成度の高さゆえ、かつてのF1ではここをテスト・トラックとしてしばしば使用してきました。今シーズンが始まる前のオフシーズン・テストでも使用されていましたね。確かに最近では、F1のテストとしてはバーレーンのサーキットが使用されることが多いですが、それでもF1のチームがヨーロッパで最も知り尽くしているサーキットといえばここバルセロナということになるでしょう。
実は2023年に現在のターン13と14の間にあるシケインが撤廃されて低速コーナーは減ってしまいまいました(現在の低速コーナーはターン5とターン10、あるいはターン12も該当するかもしれません)。しかも長いホームストレート・エンドのターン1でさえも中速コーナー(出口のターン2に至っては高速コーナー)なのでブレーキングで落とすスピードが大きいとは言えず、従来から抜きにくいと言われてきました。それでなくても今シーズンはストレートの途中で電動アシストがなくなって減速してしまうでしょうから、スピードの落とし幅がさらに減少して抜きにくさが増すかもしれません。
ただ、先行マシンの真後ろまで来ているのに抜けない場合は、ホームストレートでエネルギーを使い切らずに残しておいてターン3の脱出でエネルギーを使用してターン4で仕掛けるという動きはあるかもしれません。先行マシンは抜かれまいとストレートで全エネルギーをディプロイ(放出)するでしょうし、ターン4の後はターン10まで仕掛けるポイントはない上、その手前のバックストレートでディフェンスできる分のエネルギーのハーベスト(回生)が可能でしょうからね。
また、バルセロナというとタイヤに非常に厳しいサーキットとして知られています。それなのに今回持ち込まれるのは標準的なタイヤセットなので、それがレースを同演出するのかも興味深いです。まぁ、今シーズンはタイヤが硬いと言われてきたので、その当て付けという訳ではないでしょうけど、どういうレースあるいは予選になるのかは楽しみです。
激しいバトルが見られることを期待しています。

