4月13日、F1第3戦中国GPが開幕しました。2週連続開催の2週目となります。直角コーナが少なく、低速から高速までバランスよくコーナーがレイアウトされ、長いストレートも抜きどころもあって、今年初めてのサーキットらしいサーキットでのレースとなりました。
/*・・・Preview:コースとタイヤ・・・*/
上海・インターナショナル・サーキット(上海)
(Formula 1®から抜粋)
コース長:5.451 km
レース義務タイヤ:ミディアム、またはソフト
予選Q3用タイヤ:ウルトラソフト(※)
(※)今シーズンのピレリタイヤのラインアップは7種類で、軟らかい方から次の順番になっている。
1. ハイパーソフト
2. ウルトラソフト
3. スーパーソフト
4. (ノーマル)ソフト
5. ミディアム
6. (ノーマル)ハード
7. スーパーハード
今回は史上初めて、1段階飛ばした硬さのタイヤが供給された。
/*・・・Qualifying:予選・・・*/
PP 5 S・フェテル(フェラーリ)
2位 7 K・ライコネン(フェラーリ)
3位 77 V・ボッタス(メルセデス)
4位 44 L・ハミルトン(メルセデス)
5位 33 M・フェルスタッペン(レッドブル・TAGホイヤー)
6位 3 D・リカルド(レッドブル・TAGホイヤー)
7位 27 N・ヒュルケンベルグ(ルノー)
8位 11 S・ペレス(フォースインディア・メルセデス)
9位 55 C・サインツ(ルノー)
10位 8 R・グロージャン(ハース・フェラーリ)
11位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)
12位 31 E・オコン(フォースインディア・メルセデス)
13位 14 F・アロンソ(マクラーレン・ルノー)
14位 2 S・バンドーン(マクラーレン・ルノー)
15位 28 B・ハートレー(トロロッソ・ホンダ)
16位 35 S・シトロキン(ウィリアムズ・メルセデス)
17位 10 P・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
18位 18 L・ストロール(ウィリアムズ・メルセデス
19位 16 C・ルクレール(ザウバー・フェラーリ)
20位 9 M・エリクソン(ザウバー・フェラーリ)
Pole Position Time:1:31.095(215.4 km/h)
Fastest Lap Time:PP Time に同じ
/*・・・Impression:麻痺した予選・・・*/
今回は、いつもと違った見方をしてみたいと思います。今F1で話題になっているバジェット・キャップ(チームの年間予算に上限を設けること)と少しだけ絡める形で見ていきます。
//・・・予選Q2結果・・・//
1位 1:31.914 ソフト 44 L・ハミルトン
2位 1:32.970 ソフト 77 V・ボッタス
3位 1:32.063 ソフト 7 K・ライコネン
4位 1:32.385 ソフト 5 S・フェテル
5位 1:32.494 ウルトラソフト 27 N・ヒュルケンベルグ
6位 1:32.524 ウルトラソフト 8 R・グロージャン
7位 1:32.688 ウルトラソフト 3 D・リカルド
8位 1:32.809 ウルトラソフト 33 M・フェルスタッペン
9位 1:32.931 ウルトラソフト 11 S・ペレス
10位 1:32.970 ウルトラソフト 55 C・サインツ
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11位 1:32.986 ウルトラソフト 20 K・マグヌッセン
・・・
これはQ2(予選第2セッション)を突破した10名と次点のタイム、および使用したタイヤを表しています。今回ピレリが持ち込んだ最も軟らかいタイヤは、ラインアップ中3番目に軟らかいスーパーソフトタイヤではなく、それよりさらに1段階軟らかいウルトラソフトタイヤでした。一般にタイヤは軟らかいほど速いタイムが出せるのですが、それでもメルセデス、フェラーリといった上位2チームとその他とはこれほどの大きな差があるということです(ウルトラソフトと(ノーマル)ソフトの間の差は1秒弱あると言われている)。ちなみに、なぜこの2チームがスタートタイヤに硬い方の(ノーマル)ソフトを選んだかというと、それだけ長持ちして決勝で有利な展開に持ち込めるからです。ウルトラソフトは速いけど軟らかい分すぐに劣化して、ピットストップのタイミングが早くなるだけでなく、ピットストップの回数も増える(ロスするタイムが大きくなる)恐れがあるのです。
もちろんQ2のトップ10に入れば、そのセッションで最速タイムを記録したタイヤでスタートしなければならないので、決勝で上位を狙う上位チームは余力を残し、タイヤの性能を目一杯使い切ってはいないはずです。それでもこれだけ大きな差があって、なおかつ同じF1というカテゴリーに属しているというのは、いささか奇妙に感じます。
ぼくは、上位トップ10のマシンは最大でも1秒程度であったほうが面白いと思います。つまり決勝を硬いタイヤでスタートして有利な展開にしたければ、ある程度予選を犠牲にする覚悟が必要になる、つまりQ3(予選最終セッション)に進めないくらいのレベルの中で戦って欲しいです。その方が、ドライバーの個性を反映したレースが見られてもっと面白くなるかもしれません。かつてプロフェッサーと呼ばれ、F1で通算51勝を挙げたアラン・プロストは、決勝を見据えて予選を犠牲にしながら、レースでものの見事に巻き返して勝つ姿は、とてもかっこよかったです。そういうF1は、もう今の時代に合わないのでしょうかね。
バジェット・キャップを導入してこういう力関係になると言うのならば、導入する価値があるとぼくは思います。ただ、そこで今まで働いて来た人のクビを(大量に)切る必要は避けられないので、簡単な問題ではないのは確かです。本当のことをいうと、予算ではなくチームの構成人数を、例えば1チーム上限200人と決めてしまう方がいいとは思います。いかに優秀な人間で構成できるかが勝敗を決めるのです。そもそもレーサーは各チーム2人と決まっているわけですからね。そして既存チームからあふれた人はもう1つ新たなチームを作るみたいな。これで予算は低く、参戦チームは多く、になればいいのですが少し理想的すぎるし、F1らしくなくなってしまうかもしれませんね。
/*・・・Race:決勝・・・*/
WIN 3 D・リカルド(レッドブル・TAGホイヤー)
2位 77 V・ボッタス(メルセデス)
3位 7 K・ライコネン(フェラーリ)
4位 44 L・ハミルトン(メルセデス)
5位 33 M・フェルスタッペン(レッドブル・TAGホイヤー)
6位 27 N・ヒュルケンベルグ(ルノー)
7位 14 F・アロンソ(マクラーレン・ルノー)
8位 5 S・フェテル(フェラーリ)
9位 55 C・サインツ(ルノー)
10位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)
11位 31 E・オコン(フォースインディア・メルセデス)
12位 11 S・ペレス(フォースインディア・メルセデス)
13位 2 S・バンドーン(マクラーレン・ルノー)
14位 18 L・ストロール(ウィリアムズ・メルセデス)
15位 35 S・シトロキン(ウィリアムズ・メルセデス)
16位 9 M・エリクソン(ザウバー・フェラーリ)
17位 8 R・グロージャン(ハース・フェラーリ)
18位 10 P・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
19位 16 C・ルクレール(ザウバー・フェラーリ)
20位 28 B・ハートレー(トロロッソ・ホンダ)
Winner's Time:1:35:36.380(191.5 km/h)
Fastest Lap Time:1:35.785(204.9 km/h@55周)
77 V・ボッタス(メルセデス)
/*・・・Key:セーフティカー・・・*/
今回のF1は、先週に続きとても面白いレースだったと思います。これはぼくだけでなく、ほとんどの人がそう感じているように思います。でもレース前半は正直、退屈な展開でした。動きがあったのは、ピットインのタイミングで首位がフェテルからボッタスに入れ替わったところくらいでした。
流れが大きく変わったのは、セーフティカーが導入された31周目でした。前を走るメルセデス、フェラーリ勢はコンサバにタイヤを替えず、最後まで走りきることを選択しましたが、結果的にはこれが失敗。逆に、ここで2台とも新しいソフトタイヤにはき替えたレッドブル陣営の瞬発力は素晴らしかったです。そして、これがリカルドのほとんど歴史的なオーバーテイク・ショーにつながりました。特にボッタスを仕留めたターン6の飛び込みはギリギリ。今週の象徴的なシーンで、しびれましたね。トップ5台を抜きまくって、完全にリカルドの独壇場でした。
これを見ると、リカルドはレッドブルに合っているな、と感じます。レッドブルは、搭載しているパワーユニットが実質ルノー製と言うこともあって最高速こそトップクラスではありませんが、毎年シャシーの出来はよく、特にブレーキの安定性は素晴らしいものがあります。そしてリカルドの持ち味は、ここぞと言うときに見せる鋭いハード・ブレーキング。この「芸当」はレッドブルのマシンだからこそ最大限に生かされるのかもしれません。来シーズン彼がどこに行くかが大きな注目となっていますが、年俸を別にすれば、ぼくはレッドブルも十分いい選択肢だと思います。
/*・・・Key:オーバーテイクの境界線・・・*/
一方、同じレッドブルのフェルスタッペンは最悪のレースになってしまいました。もちろんフェルスタッペンも普段は素晴らしいオーバーテイクを見せるドライバーなのですが、今回はそのオーバーテイクが裏目に出てしまいました。それは、もちろん限界を超えてフェテルと接触してしまったことですが、もしあそこでスピンすることなく上手くフェテルをかわしていれば「今回も」誰にも何も言われなかったと思います。ただ、今まで上手くいっていただけで、正直危うい場面はこれまでもたくさんありました。そして来るべき時が、来るべくしてやって来ただけなのです。
先週は、後輪をハミルトンのフロントにヒットさせながら抜いて行ったことでハミルトンを激怒させましたが、昨年フェテルのフロントを踏みつけて抜いていったことはカナダとメキシコの2度もありました。このことが彼の頭に少しでも残っていれば、先週あんなにチャンピオンの怒りを買うこともなかっただろうし、ポイントも獲れていただろうと思います。
ちなみにぼくも接触の瞬間、レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーと全く同じく、2010年のスパ・フランコルシャンで当時マクラーレンのジェンソン・バトンにぶつかったフェテルの画が頭をよぎりました。今後フェルスタッペンがどういった成長を見せていくか、様子を見ていきたいと思いますが、彼は優秀だと思うし実際はそれほど心配はしていません。それよりも、彼に関しては、今だに今シーズンのレッドブルのマシンを乗りこなしていないように見えることの方が、もっと深刻かもしれませんが。
/*・・・Next:第4戦アゼルバイジャンGP・・・*/
次の舞台はアゼルバイジャンの首都バクーです。今シーズン初の市街地レースとなります(公道を使用したレースとしてはオーストラリアに次いで2回目)。昨年は波乱あり、バトルあり、意外な結末あり、場外戦ありの、ある意味とても面白いGPでした。
バクー市街地を駆け抜けるバクー・シティ・サーキットの特徴といえば、やはり全長2.2 kmにも及ぶストレート(この中にコーナーが含まれるため、より正確にいえば全開区間)ですね。昨年最も高い最高速度を記録したのがここバクーでした。ここではとても大きなスリップストリーム(高速で走行するマシンの後ろに発生する空気抵抗の小さい領域。そのため単独走行時より最高速が伸びる)が生じるので、抜きつ抜かれつのバトルが期待できます。また、この長い全開区間のためにブレーキが冷えすぎて効きが悪くなり、ターン1でのブレーキングが非常に難しくなります。また昨年までのGPを見ていると、風の影響からか、ターン1だけでなくターン3、ターン7、ターン8、ターン15などもミスしやすく、波乱が起きる可能性があります。そしてこのサーキットで最大のキーとなるコーナーはもちろんターン16。このコーナーのクリアの成否で、続く全開区間で抜かれるかどうか決まるといっても過言ではありません。
今年はクリーンで、かつワクワクするバトルが見たいですね。
