緊急シンポジウム SDGs未来都市名古屋の市政を変える! | 女性首長を実現する会 愛知

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今まで女性首長のいない愛知県に初の女性首長を出そうよ!

緊急シンポジウム 「SDGs未来都市名古屋の市政を変える!」
2020年2月16日(日) イーブルなごや

ルンルンオーガニック名古屋市政の会、緑の党・東海、女性首長を実現する会愛知の共催で
緊急シンポジウムを開きました。

約40人の参加で、名古屋市政をどうしていくのか、活発な議論ができました。

 
ダイヤオレンジ尾形慶子 緑の党東海共同代表 
① 気候危機:この1年がなぜ重要か
地球温暖化が問題になっているが、このままいけば、今世紀末には名古屋でも8月には屋外で安全に過ごせる日はなくなるだろうという科学者もいる。もし平均気温が4℃上がると、現在75億人いる人類は、10億人くらいしか生存できないといわれている。これは、人類が文明化して以来初めてのことだ。
2030年までに温室効果ガス排出をほぼ半分にし、2050年までに実質ゼロにしないと、取り返しがつかない。2015年のパリ協定では、各国が野心的削減目標を立てて、5年後(今年末)までに提出しなけれはならないとしている。ところが日本は、5年も前に作った、僅か18%削減という目標値を提出しようとしている。これではだめなんだということを、市民の間から盛り上げていかないといけないと思っている。
今、世界の若者は非常に危機感を持っており、絶滅への反逆ということで、主要道路を封鎖したり、学校を休んで集まる“スクール気候ストライキ”などを行っている。これはグローバル気候マーチと呼ばれ、世界中で740万人が参加した。名古屋でも行われた。また、飛行機に乗らない、肉食をしないという人も増えている。
② 名古屋SDGs未来都市計画は、開発・経済成長ばかり
名古屋はSDGs未来都市に選ばれたが、昨年制定された「SDGs未来都市計画」は、開発と経済成長ばかりである。17の目標の中で「SDGs未来都市計画」の重点目標や取組みに登場回数が多いのは、8「働きがいも経済成長も」¬=16回、9「産業と技術革新の基盤をつくろう」=14回、11「住み続けられる街づくり」=8回など。
それに対して、1「貧困をなくそう」、2「すべての人に健康と福祉を」5「ジェンダー平等を実現しよう」、16「平和と公正をすべての人に」は0回。一度も出てこない。
③ 2020年度予算案に見る名古屋市政
多額の予算が付けられているのは、リニア開業に向けた街づくりが6億7900万円。ささしま地区及び名駅南アクセス改善2億円。・栄まちづくりプロジェクト19億5690万円。高級ホテル立地促進は1件10憶円を計画中。名古屋城天守閣の設計関係・木材管理・発掘調査だけで2億円。
一方、削られるのは、公立保育園99園。これが民営化される。障害児の施設も民営化され、小学校が統廃合される。学校給食調理も民間委託を増やす。市営住宅も戸数を減らす。保険と福祉を一体化して、窓口を減らす。学校給食費は、小学校年6000円に増額、中学校のランチは1食につき40円増やす。
 これは、SDGs未来都市計画で言っていることと同じ。名古屋市政の方向性は間違っていると思う。気候危機を訴えても、貧困対策や健康福祉はゼロ。これではいけないと思うので、この一年間は名古屋の市政を変えようということを言っていきたいと思っている。

ダイヤオレンジ岡山朋子 大正大学教授・環境政策
 1999年2月、当時の名古屋市長はごみ非常事態を宣言した。名古屋港内の藤前干潟を、ごみ埋立場にしようとする計画があったが、藤前干潟は渡り鳥の重要な餌場でもあるため、「ゴミかトリか」という藤前干潟問題が起こった。その時、私はちょうど中部リサイクル市民の会というごみ問題解決を目指す団体にいたため、名古屋市のごみ減量に関わることになった。その後、名古屋大学大学院環境学研究科で、このときの名古屋市ごみ減量政策について研究し、名古屋市がどのようにごみを減らそうとしたのか、それが果たして環境にとって良かったのかを検証した。結果、それは良かったといえる。例えば、プラスチック製容器包装を年間約2万トン回収して、東海市の新日鉄(現日鉄)でコークス原料として再生利用したことで、同工場の石炭購入量を1%くらい削減させた。このケミカルリサイクルで、CO2の削減量は約6千トンだった。プラスチック以外の全ての資源ごみの分別収集・リサイクルのCO2削減効果(1999年度と2001年度の差)は、およそ4.8万トンになる。プラスチックをリサイクルせずに焼いてしまったら、すごい量のCO2を出すことになる。このような研究を経て、現在は廃棄物管理を専門としている。
2000年には東海豪雨が起こり、膨大な災害廃棄物が出た。もともとごみが増えて困っている時に、ドカンと8万トンというごみが出てしまった。東海豪雨は100年に一度という大雨が降ったのだが、これから温暖化していく中で、東海豪雨に匹敵するような災害が起こる可能性がある。アメリカでは2005年にカトリーナという大型ハリケーンに襲われている。日本でも大型台風や豪雨などが、立て続けに毎年起こっている。だから、まずは温暖化を食い止めなければならないが、さらに、災害時の廃棄物をできるだけ減らす必要もあると考えている。
日常生活を考えると、私たちが出している可燃ごみの4割は生ごみ。その中には食べられるのに捨てられてしまう食品ロスも多い。2019年5月に食品ロス削減法ができ、家庭から出る食品ロスを半減しようということになった。食品ロスは実際どのくらいあるのか。日本では、約634万トンと言われ、家庭から出るのは300万トン弱と言われている。法律を作ってはいるが具体的な実効性はない。
私たち国民は実際食品をどれだけ捨てているのか。日本は食料の自給自足ができていない。約5500万トン輸入して、約5400万トン国内で食品として作っている。しかし、私たちはそのうち4分の1を廃棄している。私の実感としてはもっと多いのではないかと思っている。
最近は恐ろしいほどの自然災害が発生しており、野菜が被害を受けている。さらに昆虫も被害を受け、野菜や果物の受粉にも影響が出るのではと言われている。今年は雪が少なく、春になっても雪解け水がない。虫がいなくて水がないと病気が流行る。従って、4月以降の野菜の生産が極めて厳しくなると思われる。近い将来、気候変動によって農業ができなくなり、結果、食料品がなくなってくる。これからは捨てるような状況にはならないのではないか。
4年前から、「おかえりやさい」という名で、スーパーや給食の生ごみを堆肥にリサイクルをして、それで野菜を作ってスーパーや給食に戻すというプロジェクトを主宰している。これは循環経済の取り組みで、SDGsでは12(つくる責任、つかう責任)に該当するが、名古屋市の都市計画にはこの循環経済が全く触れられていない。国も、お金を工業で稼いで、足りないところは海外から買ってくればいい、という発想でいる。これからはお金を払っても、食料は日本に送ってもらえなくなるかもしれない。

ダイヤオレンジ岡村晴美 弁護士・DV被害者支援
 今、尾形さんから、名古屋の未来都市宣言から、SDGsの1.2.5.16が抜けているという衝撃的なことを聞いたが、私はこの項目について、本当にすごいこれを目指すのかと思う一方、「待てよ、これは何かでよく知ってるな」と思った。実は、これは日本国憲法に大体書いてある。つまり、憲法に書いてあることが抜け落ちている。それが今の名古屋市政の目指すものなんだなと思う。
 ジェンダー平等というのはSDGsの中でも中心的な課題として位置づけられている。〔憲法に書かれている人権という項目は、かって侵害されていたもののカタログだ〕と、大学の法学部で学んできた。憲法で言うと14条に性別による差別は許されないということが書いてあり、24条では婚姻は両性の合意にのみ基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することと書いてある。これは、当たり前ではなかったからわざわざ書かれている。この憲法24条を作った時の起草者の一人である、ベアテ・シロタ・ゴードンさんは、日本の女性が圧迫されていたところを見ていた。食事を作り世話をして、後ろに下がって従っている。そういう姿を見てきたからそういう思いで憲法24条を作ってきたといっている。今は違うかというと、DV事件を年間50件くらいやっていて、そんなに変わっていないと思う。
1890年の教育勅語の中に、「夫婦相和し」という言葉がある。これは夫婦仲良くしましょうという意味では全くなくて、「勅語演義」によると、〔妻は元々知識は夫に及ばないから、貞操を守りみだりに逆らうな〕と書いてある。この教育が戦後、憲法ができるまでずっと55年間続いてきた。日本国憲法に基づいた教育が始まって、まだ70数年。まだなかなか意識が変わっていないというのが日本の状況だと思う。
女性に生まれるとライフサイクルの各段階で、いろんな差別に直面する。賃金や雇用形態差別。非正規雇用が社会問題になったのは、男性の非正規が増えたからで、今も昔も非正規雇用は女性が多い。日本特有の、就業女性のM字カーブ。愛知県はM字のくぼみが全国平均から見ても深いといわれている。さらに男性の育児休業の取得率が、愛知県はとても低いというのは両面だと思う。
 職場では男並みにやって一人前、家庭では専業主婦並みにやって一人前。暴力の対象になることも多く、性被害事件では、女性に落ち度があったということを言われることがある。被害女性が声を上げれば叩かれる。昨年は、性犯罪の無罪判決が立て続いて4件あった。フラワーデモが行われるようになった。もう黙っていないという声がうねりのようになっているにもかかわらず、日本は無策のまま追尾している。そこにSDGs5の意義がある。
世界的にみると、日本はジェンダーギャップ指数を、150数ヵ国中、昨年111位から121位へと順位を落としている。上野千鶴子氏は「世界が取り組んでいるのに、日本が取り組まないから下がる」と言っている。名古屋市民としては、こういう問題を何とか進めていきたいと考えている。世界で最も早く女性に選挙権ができたのは1893年のニュージーランドだが、ニュージーランドでは2019年8月には議会議長が赤ちゃんを抱っこしながら進行していた。日本なら、赤ちゃんを抱っこして議会へ出ようにも、同伴はダメ、そんな人はいらないんだといわれる。日本では女性に選挙権が認められたのは、たかだか75年。男女雇用均等法から35年だが、その前は女子の結婚退職制や若年退職制がまかり通っていた。
 なかなかジェンダーは人権課題だと思われてこなかったが、ここ数年、注目を浴びるようになってきた。ようやく社会がついてきたなと思っている。このジェンダーの問題は、本来国が取り組むべきだが、地方からでも変われる分野だと思っている。国によっては、虐待された子供のケアを行政がやっているところもある。日本の例では、長崎県ではデートDVについての出張授業を県がやっている。名古屋市でも取り組みようによっては、ジェンダーギャップの解消はできると思っている。