第7回FL政治塾 「民主主義と選挙を考える  ~投票率をあげるには~」 石田芳弘さん | 女性首長を実現する会 愛知

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第7回FL政治塾  (11月4日@東海ジェンダー研究所)
「民主主義と選挙を考える  ~投票率をあげるには~」
講師:石田芳弘さん
【選挙はドラマ】
今日のテーマは、「選挙を考える」。投票率を上げることを皆さんと考えていきたい。
まず職業としての政治家を志した動機。大学卒業後、家業の酒屋を継いだが、1年後、親しい友人の父親が犬山の市長選挙に立候補したので手伝った。その時の演説会などで、顔見知りのおじさん達が、喧々諤々の話し合いをするのを見て、カルチャー・ショックを受けた。それは、古代ローマやギリシャの都市国家の選挙をイメージさせるものだった。町中が政治に燃える様子を見て、政治家をめざそうと思った。
その後、旧愛知3区の衆議院議員・江崎真澄氏の秘書として10年間勤め、県会議員に立候補した。
当時、犬山は談合政治で、県会議員選挙は6期24年間やっていなかった。そこに異議を唱え、戦い、勝利した。
選挙を考える場合、「政治は結果を出さなければいけない。選挙は勝たなければならない」という論があるが、結果よりも「何をやりたいかという迫力と冒険心とチャレンジ精神」が大事で、現職に対して「明確な対立軸」を作り、そこに有権者を巻き込んでいくようなドラマを作ることが重要。投票率が上がらないのは、選挙がドラマチックではないから。
【人間社会と法】
 現在、至学館大学で「人間社会と法」という講義をしている。日本の社会は法で成り立っている。江戸時代までは社会という言葉は無かった。世間と言っていた。世間を成り立たせる人間関係は、情・義理・恩顧・忖度だ。しかし社会を動かす原理は法だ。また理性であり知性である。世間と社会を動かす原理が大きく違ってきたのだ。そのため法律の一番の基になる憲法は非常に大事である。
日本国憲法の精神は、前文に表れている。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」から始まる。これが議会制民主主義であり、選挙というのは非常に大事な装置なのだ。近代的な議会制度は、イギリスの1215年のマグナカルタ(大憲章)を源流としていると言われている。
 日本の場合は、「婦人参政権」が認められたのも73年前だし、男性も当初は多額納税者しか投票権がなかったことを考えると、選挙の歴史、議会の歴史そのものが、ジェンダーの歴史であり、権利獲得の歴史といえる。民主主義の熟度の歴史そのものではないかと思う。
【行政委員会】
 戦後、民主政治の中に行政委員会というものが取り入れられた。選挙を経ない一般の市民が行政の政策に関与できるという考え方で、例えばNPOの代表者が行政にタッチできるというものだ。執行機関の多元化をめざしたもので、国にも地方にもある。行政委員は、一般市民であり、特別職の公務員である。
 主なものとして、国では人事院、公正取引委員会、国家公安委員会、原子力規制委員会。日本銀行も行政委員会の一つという説もある。地方では今日のテーマの選挙管理委員会、教育委員会、人事委員会又は公平委員会、監査委員会。都道府県には公安委員会、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会。市町村には農業委員会、固定資産評価審査委員会などがある。問題は、これら行政委員会の委員は、執行側(行政側)が任命し、それを議会が暗黙の了解で反対しない為、委員は思考停止状態となり、仕事をせず行政ペースで進むこと。これに対して選挙管理委員は、議会が選ぶ。犬山市は委員長の私を含めて4人。
【選挙「管理」から「実行」委員会へ】 
「投票率低下と選挙管理委員会の進むべき方向」
①全国的に選挙をやる度に、地方議員選挙も含めて投票率が低下し、このことは民主主義の危機ではないかという議論が起きている。
②このテーマを議論する一定の役は、選挙管理委員会が担うのではないかと考える。
③選挙管理委員は、議会の選挙により選出されたゆえ、我々の任務は議会と相談し協働したいと考える。
④従来の選挙管理委員会は、選挙事務の管理のみに終始していたきらいがあった。昭和25年に成立した公職選挙法は、99%が禁止事項で管理の部分が大きい。しかし、公職選挙法には目的として「民主政治の健全な発達を期する」(第1条)とあるので、今後は教育委員会とも連携して主権者教育に踏み込みたい。
⑤その為に選挙管理委員会という名称を、法律と矛盾しない範囲で、例えば「選挙実行委員会」などに変更し、民主主義啓発の意図を体現したい。
⑥名称の変更を条例化するとともに、選挙は市民の権利と同時に義務という理念も民主主義教育の一環として条例に書き込んでいただきたい。
⑦すべての選挙の投票率向上を、市民の民度をはかる一つの指標と考える市民意識を醸成することに、市議会の共感をいただきたい。
⑧以上の考えを推進するために、議会改革検討委員会と選管の共催で、内外の講師を招いて定期的に研究会を開催し、広く市民と情報を共有したい、と提案した。
社会を構成するシステムは、政治・経済・市民社会だ。この三つが補完しあって国家をつくっている。
この中のグローバル・エコノミーの金儲け主義の経済システムが国家を動かす今の状態は、危機的状況だ。
これにストップを掛けることができるのは、助け合い、支え合い、補い合う市民社会だと思う。
そこで、選挙管理委員会が地方議会と組んで、政治の一番根底である地方議会を「民主主義の岩盤」となるよう地方議員の皆さんと立て直していきたい。(質疑応答は別スレで)