平清盛第15話「嵐の一門」Vamos流解釈1 「家盛の死で荒れる平氏一門」編
平清盛第15話「嵐の中の一門」Vamos流解釈2 西行ガールズにワロタが、やっぱり盛国変です!編
の続編です。
あらすじ
一方、崇徳院(井浦新)の御所には権力争いから遠ざけられた
兄弟が暮らしていた。兄・崇徳院と弟・雅仁親王(松田翔太)である。
歌ってばかりの雅仁親王に、政治に復帰する野心がないのかと
崇徳院が問うと、雅仁親王は笑い飛ばし、野心があるのは
兄ではないかと言い当てる。
ここでは雅仁親王の台詞を青字、崇徳上皇の台詞を赤字で表します
「我を頼めて 来ぬ男
卯の三つ 追いたる 鬼になれ♪」
相変わらず今様狂いの雅仁親王は、今日も歌っています
得子達に騙されて近衛帝が皇太弟として即位したため
相変わらず鳥羽法皇が治天の君として君臨しているので、
自身で政務をとれずに不満タラタラな崇徳上皇。
二人共今は亡き待賢門院の子であります。
「これは上皇」
「よい、面を上げよ。我ら兄弟ではないか」
「摂政(忠通)と左大臣(頼長)が
争うて娘を入内させている」
「おや、それは存じませなんだ」
「そなたは帝の座は臨んだことはないのか
今の帝(近衛帝)さえ
お生まれにならなければそなたとて...」
「(馬鹿笑いした後で)まるでござりません。
帝とならば、こう日がな一日
歌うてはおられませぬ」
実際後白河法皇には「今様の歌い過ぎで喉を痛めた」という
記録があるそうですから、ガチで今様狂いなわけです
「いっそ、そなたほど潔ければのう」
このドラマでは「帝の位になど全く興味が無い」と
言ってのけた雅仁親王が、後に頼朝曰く
「日本一の大天狗」な後白河法皇となります。
それに保元の乱も、崇徳院と雅仁親王が即位した後白河天皇
を旗頭として争われましたので、将来敵味方に分かれるお二人。
そんな運命が二人を待ち受けていることを、まだ誰も知りません。
あらすじ
正倉院に収める支度をする忠盛に、宗子が清盛の生みの母・舞子の
形見である鹿の角を差し出した。亡き舞子の志を遂げたいと
忠盛が思っていたために家盛が死んだのだと宗子は感情をぶつけた。
ある日、清盛の館を西行が訪ねて来た。清盛は西行に、
平氏一門は嵐のただなかにあるが、その嵐のもとは自分であり、
自分に宝塔再建の大役は果たせないと弱音を吐く。
西行は、清盛にしかできないことがあるはず、
嵐の中に身を置いて務めを一心にはたすべきだと清盛を諭す。
清盛はふっきれたように宝塔の再建に全力を注ぎ始める。
この志のために 家盛が死んだのですから」
と言って宗子が取り出したのは、清盛の実母である舞子の
形見である鹿の骨。これは元々は忠盛が魔よけとして
舞子に与えたものでした。
好きにいたすがよい」
ミキプルーンパパ盛は、宗子の申し出を了承します。
形見の品を床に叩きつけて壊した宗子ママ
そしてパパ盛にすがって泣きじゃくります。
家盛が死んだのは史実では病死、このドラマでは
母宗子のためとはいえ清盛を蹴落として自分が次期棟梁と
なるために実力者である藤原頼長の後ろ盾を得た行為が
実は鳥羽法皇に忠誠を尽くしていた平氏一門を
裏切る行為であったことに気付き、その心痛のあまりに
落馬したことが原因でした。
まぁ元々平氏一門の血筋でない清盛を忠盛が自分の志のために
平氏の棟梁としようとしたことが発端ですが、それにしても女性が
怒り狂って泣き叫ぶシーンは、個人的にはあまり見たくないですなぁ。
続いて西行が清盛を訪ねてくるシーンです。
ここでは西行の台詞を青字、清盛の台詞を赤字で記します。
「高野山の宝塔再建のための勧進
(寄付金を募ること)のために山を降りてきた」
と語る西行に、ハートブレイク中の清盛は
「俺には宝塔の再建は務まらぬ」
と答え、それに続けて清盛が語ります。
「今、一門はひどい嵐の只中にいる。
そしてその嵐の元は、俺なのじゃ。
俺というよそ者が平氏の子となった時から
この嵐は巻き起こり始めておった。
家盛の亡骸に触れることを許されず、
家盛の代わりに死ねばよかったと言われ。
そんな俺が務めを果たしたからとて、
どうして家盛が浮かばれる」
清盛は宝塔再建の図面を火にくべます。
「平泉にて、あの寒さの中、あの吹雪の
衣川を、私は飽くことなく眺めておりました。
凍りそうな身と心を抱えて、それでも
目を離せなんだ。」
元々「美しき物」を追い求める人物である西行。
彼は第10回「義清散る」の回で出家する際、関連記事
平清盛第10話「義清散る」Vamos的解説 後編(義清出家して西行法師へクラスチェンジ編)
で触れたように
「王家の乱れの元は、人が人を愛しく思う
気持ちだ!手に入らぬなら、奪いたい!
奪えぬなら、殺したい!
そんな醜い思いが渦巻いている!」
美しく生きることが私の志だ!
醜さにまみれて生きる覚悟はない」
なんていうワケ分からん己の美学を語っていましたからなぁ...。
カッコいいこと言ってるように一見思えますが、
金麦待賢門院に横恋慕して、拒否られたら逆切れして
金麦待賢門院の首を絞めて絞殺未遂事件を起こし、
鳥羽院の配慮で罪に問われなかったのに、
「王家(このドラマにおける皇室の呼称)に仕え続けてその醜さに
染まることは、美しく生きたい自分には耐えられない」
とぬかして、実の娘に突然蹴りを食らわせて頭を丸めた男が、
このドラマにおける西行です。そういうわけで、このドラマにおける
西行の言動には注意が必要と思っているワタシ。
「それはそこに、何か美しきものが
潜んでいたからにございましょう」
清盛が火に投じた宝塔の絵図面を拾い上げる西行
「今嵐の中に身を置き、この務めを一心に
果たされば、さすればきっと見られましょう。
風雪を耐え忍んだ者だけが見られる美しき物。
嵐の中の一門のため、よそ者のお手前にしか
できぬことが、きっとございます」
坊主家業が板についてきたのか、言ってる内容はご立派です。しかし
「今できることを一心にやり遂げれば、頑張った者にだけ
見られるご褒美がありますよ」という趣旨のことを、
平泉の寒さに耐えて衣川を見つめ続けた、自分の体験談から
語る西行。まったく、なんてナルシー君なイケメン坊主なんでしょう
おそらく、このナルシー君なイケメン坊主という西行のキャラは、
ドラマが終わるまで変わらないと思われます。
平清盛第15話「嵐の中の一門」Vamos流解釈4超肉食系の義朝らしからぬいい人ぶり!編
に続きます
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