いびきをかいて寝ていたケイトさん。
でも、午前1時半ごろ。
ゴソゴソと支度する音で目が覚めました。

 

鼻歌をうたいながら、外出していくケイトさん。
そして3時に帰宅して、何事もなかったかのようにお風呂に入っていました。

 

――もう、限界だ。
明日、出社すると同時に家を出よう。
そう心の中で覚悟を決めました。

 

少しずつ続けていた家探し。
ついに「もうアパート契約しよう」と決意しました。

とはいえ、貯金も収入も少ない私。


払える範囲の部屋なんて、すぐには見つかりません。
それでも…このままの生活を続けるわけにはいかない。

 

ケイトさんが東北の実家へ向かったのを確認して、
私は最低限の荷物だけを持って家を出ました。

 

今夜から、またホテル暮らし。
いつ戻ってくるか分からない相手と生活を共にするのは、もう無理です。

 

仕事を終えてチェックインしたあと、不動産会社へ。
翌日の内見予約がとれました。

 

夜、ホテルに戻ると一本の電話。
ケイトさんの義弟からでした。

 

正直、「出なきゃよかった」と思いましたが、出てしまった…。

電話の向こうでは、彼も混乱している様子。


一族全員が巻き込まれて、

誰もが「お前がなんとかしろ」と責任を押しつけ合っている状態でした。

 

「お義兄さんの話がまったく理解できなくて…。
どうしてこうなったのか、教えてもらえませんか?」と。

 

「ひと月に何度も実家に戻っては、両親から5〜6万円借りてるんですよ。
本人は“ぶらうすが金を渡さないからだ”って言ってます」

 

それを聞いて私は、できるだけ冷静に説明しました。

  • ケイトさんが際限なくお金を使うので、私が資金を管理していたこと

  • 「出ていけ」「別れる」と何度も言われたこと

  • アルコール依存症の入院直前に逃げ出したこと

  • 家の家具がボロボロにされていること

  • 私が恐怖から逃れ、知人宅やホテルを転々としていること

義弟は「わかりました、家族で相談してまた連絡します」とだけ言って、電話を切りました。

 

でもそのあと、私はぐちゃぐちゃに混乱しました。
私に、これ以上何ができるの?
まさか「連れて帰ってくれ」とでも言うの?

逃げてばかりで、自分と向き合おうとしない人を、私がどうにかするなんて――もう無理。
というか、したくない。

 

「殺すぞ!」って叫ばれる生活をこれ以上続けたら、私が壊れてしまう。

 

私は今、自分のことで精一杯です。
新しいアパートを借りたら、すぐにバイトを始めなきゃ。


支払いは待ってくれないし、心休まる時間もない。

どうしても答えが出なくて、
精神科で働いているケイトさんの従姉妹にショートメッセージを送りました。

 

すると、すぐに返信が。

「ケイトとは連絡を断って。
私にできることはないと言ってください」

――それを見た瞬間、心の奥がスッと静かになりました。
これでいいんだ、って思えたんです。

 

彼女は、私が“イネイブラー”であることをわかっていた。
助けるほどに、依存が深くなっていく…そんな関係。

 

しばらくして、義弟からまた電話。

「もし本人が入院に同意したら、病院まで連れて行ってもらえますか?」

私は答えました。


「本気で治療に向き合うつもりなら、手続きや荷物の支援はします」と。

義弟は、「わかりました。また連絡します。


もし東京に戻らないようなら、地元の精神科に連れて行こうと思っています」とだけ言って、電話を切りました。

 

この電話で何が解決したわけでもないけれど、
少しだけ、自分の立ち位置が見えた気がしました。

 

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