責めたくないし責められたくない | 新地球時代を生きよう!Dr.恭子の元気が出るブログ

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スキルス胃癌で胃を全摘後も大好きな内視鏡を握っている内視鏡医です。
南米ボリビア に子連れ赴任、フランスで料理修業、現在は神人さん講演会で真実を学びながら、毎日を明るく元気に生きていく秘訣をブログで書いています。

今日は病院で仕事の日でした。


午後からの大腸内視鏡検査を受けに来られた患者さんで、「幾つになっても検査が怖い😱」という男性がいらっしゃいました。


背が高くてふっくらされた体型で、お腹の容積に比例して腸が伸びやすいだろうなと想像していました。


日頃から、「検査が痛い、怖い」という痛がりさん&怖がりさんには検査の始まる前に鎮静剤を使うのですが、この患者さん(Aさん)も「予め鎮静剤を使って欲しい」と希望されていたため、数ヶ月前に胃カメラを受けられた時と同じだけの量を注射しました。


ところが…。


しばらく経っても眠くならない様子😅


眠くならなくても腸やお腹の緊張は緩んだだろうと検査を始めたところ、腸に空気が入ったことによって腸が張った状態を“痛み”として感じやすいようで、「痛い!」と。


さらに普段から便秘気味のAさんは、腸の中に午前中に飲んだ洗浄液や便のカスが残っていて想定外な状態という…😂


一般的に内視鏡検査を沢山行っている専門の施設では、『完全に綺麗な腸』になるまで容赦なく⁉︎、下剤や浣腸をかけて腸の中に何も残っていない状態にします。もちろんその方が癌やポリープの見落としも少ないため、理想といえば理想なのですが、そのぶん患者さんへの負担が大きいのが事実あせる


かつてそのような病院で働いていて、患者さんが煽られるようにトイレに通う姿をよく知っているため、私自身は必要以上の負荷を患者さんにかけたくないなと思っていました。多少時間がかかっても内視鏡を使って吸引できるものは吸引してあげて、いろんな意味でラクに受けられる検査を目指したいなと思って現在に至ります。


ところがAさんの場合、『検査が怖い上に鎮静剤が効かない、そのくせ腸の張りが苦しい、ついでに腸の中には洗浄液や便のカスがまだ残っている』とトリプルパンチならぬマルチプルパンチ⁉︎は、患者さんの腸をこよなく愛する私も少々途方に暮れてしまいました汗


そしてAさんだけでなく自分自身を励ます意味でも、「頑張れ、頑張れ、あと少し❗️」と声に出して言っていると、「もう頑張れないよっ😑」と少々キレ気味なAさん…。


そうこうしているうちに、大腸の終点である盲腸まで到達して、「後は抜いて来るだけですからね!」と声をかけました。


大抵盲腸まで到達した後は、リラックスした雰囲気で患者さんと話をしながら大腸を細かく観察していくのですが、若干キレ気味だったAさんを前に思ったのが、「責めたくないし責められたくない」ということでした。


同業者の悪口を言うのもなんですが、汚れている腸に対して患者さんに非難めいた言葉を投げる検査医は結構います。「自分がうまく盲腸まで挿入出来なかったのは腸が汚かったからだ」と言いたいのでしょうが、ある意味当たっていても検査の前準備で大変な思いをしている患者さんには酷なことです。


しかし、私が黙りこくって「Aさんのせいにしたくないけれど、でも痛がらせてしまったのは私のせいでもないよな。この落としどころ、どうつける?」と考えていたら、Aさんが無言の私に気をつかうかのように「やっぱり私の体格が大きいから腸も長いんでしょうか?」と聞いて来られました。


そこで、「多少腸は長いけれど、それが原因ではないと思いますよ。まだ便のカスや洗浄液が結構残ってて、それを吸わないと腸が重いしポリープなども探せないから吸引するのに時間がかかってしまったのもあるし、Aさんの腸は空気で膨らむと痛みを感じやすい個性があるから、いろんな意味でハードルが高かったんですよね。」と正直に事の次第を伝えると、Aさんはようやく状況が読めた様子でした。


その後のAさんは「会社の上司は『大腸の検査なんて麻酔なしでもなんともない』って言うけれど、自分はどうしても苦手で…」と、正直に胸の内を明かされて、最後は笑顔で検査を終えました。


結局のところ、「責めたくないし責められたくない」の答えは、『正直なコミュニケーション』だなと思いました。


お互いの胸の内を正直に伝え合うことで誤解が解かれ、「そういうことだったのねひらめき電球」と理解し合えるんだなと。それが他愛に繋がるんだなと✨


もし半ギレのAさんに対してマウントするかのように、自分の立場を正当化するような言葉を投げたとしたら、Aさんだけでなく私自身の魂にも傷をつけるに違いないと思ったのです。そして間違いなく、その一部始終を異次元存在達は見ているなと。


患者さんや患者さんの腸をこよなく愛する私としては、「なるべくラクに検査を受けて欲しい」と日頃から願っていますが、稀にこのような出来事があると、自分の真意を確認させられているような気がして、起きる事象もまた「さもありなん」と思うのでした🍀



相棒のチコちゃん。今週末には模様替え🤗