小学校に入って一、二年だったと記憶している。
父がテレビを買って、最初に見たのが大鵬と柏戸の大相撲でしたが、僕が最初に観たのは「少年ジェット」でした。
胸を躍らせてみていました。
友達と会うと「ウーヤーター」とやるのが決まりでした。
同世代の人以外には何のことやらわからないと思いますが、少年ジェットこと健(たけし)少年が悪者に向かって、左手を腰にあて、両足を広げて右手を口に添えて「ウーヤーター」と叫ぶと地面が揺れて(笑)悪者は退散してしまうのです。
また、デビルという黒いシルクハットにステッキを持った外人風の悪者がいて、ステッキをかざすと先から稲妻が飛び出すのでした。
今の子供にこれを観せたらどう思うだろう。
想像を絶する「あり得ない」を連発するかもしれない。
でも、当時子供だった僕らは見終わると間違いなく続きが観たくてワクワクしていたのです。
この勧善懲悪のドラマを観て育った僕ら(1954年〜1960年前後)は引きこもることもほとんどなく、懸命に働いて還暦を迎え、年金をいただいて老後を老年ジェットとして生きているのです。