いのり。私の苗字は関西では少ない。大正時代、父方の祖父が希有な経路で水戸から関西に移り京都に住まい、いまでは京都、大阪、兵庫それぞれに祖父ひとりからの幾世帯かがある。今はもう、祖父が関西にその苗字を僅かながら広げたことを、水戸の方では知る方もいなくなっているかもしれない。東日本大震災の際には、母がまだやりとりをしていた。その時の宅配便行き来の送り状は残しているはず、と探している。甚大なる被災の広がりが次々と明らかになるなか、無事を祈るばかり。