共済と保険は同じ?

共済も保険も加入者がお金を出し合って、万一の事故や病気のときに受け取ることができるので、一見同じように見えますが実際はどうでしょう。

成り立ちから見てみると

・近代保険は、ハレー彗星の公転周期を発見した天文学者エドモンド・ハリーが導き出した生命表を使い、年齢ごとに保険料に差をつけるという考え方が生まれました。そして、大数の法則、確率論や統計学などの自然科学の成果を取り入れながら、市場経済の発展とともに資本の論理で生命保険市場を形成してきました。

 ← 資本によって営まれる保険事業は利潤を追求する!

・人々が労働し、生活を営んでいく中で、何らかの理由でその継続が不可能もしくは中断することによってそれまでの生活が困難になることを助け合う協同組合運動は自然発生的に誕生しました。有名なのは、17世紀のイギリスでギルド(職業別組合)が少しずつお金を出し合い、病気や死亡により収入がなくなった場合に一時金を受け取るシステムを確立したことが組合の助け合いの前身といわれています。国公共済会も原価の原則で、掛金は加入者と組織に還元しています。

 ← 自主的な共済は利潤を追求せずに運営される!

経営に参画できる・できない

・株式会社は、株主総会が経営をチェックする機能を有していますが、加入者が経営そのものに口を挟むことはまず無理です。相互会社形式の保険会社では、株主総会に該当する総代会(加入者である社員の代表)がありますが、こちらも会社が人選した代表であり一人ひとりの加入者が経営に参画することはできません。

 ← 加入者不在の保険会社

・協同組合は一人一票制で、経営に参画することを原則としています。国公共済会では、すべての情報を公開し、組合民主主義を基本に運営しています。理事会は、単組の代表者で構成(単組の大小にかかわらず1名)し、事業・活動報告と方針は国公労連の大会および中央委員会で議論して決定しています。ですから、組合員として機関会議で国公共済会の運営や制度に意見を表明する権利が保障されています。

 ← 公開・民主の原則が共済運営参画を可能に

-共済は組合員を保険資本の収奪から守るんだね-

-保険会社は「商品」だけど、共済は「制度」だよ-

1015日に開会した第185回臨時国会は、国民のいのちと暮らしにかかわる社会保障制度、とりわけ医療・介護・年金などの改悪の工程表である「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」、生活保護法の改悪法案も提出されています。さらに、安倍自・公政権は、国民の知る権利を奪う「秘密保護法案」や安全保障会議設置法案を1025日に国会に提出し、今国会での成立を目指しています。

「秘密保護法案」については、日弁連をはじめ各地の弁護士会、日本ペンクラブ、民放労連、新聞労連などマスコミ関係者からこぞって反対声明が出されています。また、地方紙はもちろん全国紙、さらには米国のニューヨークタイムズ紙の社説でも国民の知る権利の侵害にあたるという意見が掲載されるほどです。共同通信の世論調査(1027日)によると、政府の特定秘密保護法案に反対が50.6と半数を超え、賛成は35.9%でした。慎重審議を求める意見は82.7を占めています。国の内外から批判のある法案は、国民の世論で阻止しましょう

さて、本稿の主題であるTPP交渉は、「米国の財政の崖」問題でオバマ大統領が米国内に足止めされたことから年内合意が遠のいたかのような印象がありますが、分野別の会合は着々と進行しており、年内妥結の目標に向かって事務レベルでの話し合いが進められています。日本テレビがおこなったTPPに関する世論調査(1020日)によると、TPP交渉の年内成立に期待する41.8%、期待しない41.8%と同数になっています。国内の多国籍企業(超国家企業)は、TPP参加のアジア諸国から利益をあげる最大の好機ですから、一部の学者、識者、マスコミ等を巻き込んで推進キャンペーンをおこなっています。その効果(影響)もあって、多くの国民が惑わされているのではないでしょうか。一方、毎月第一火曜日のTPP反対官邸前集会やシンポジウム、学習会等が全国各地で開催され反TPPの取り組みも広がりを見せてきています。NHKの世論調査(910日)では、TPPが日本の経済に「良い影響を与える」と答えた人は23%、悪い影響を与える」と答えた人は15%、「どちらともいえない」は53%でした。この結果は、過去の数字(朝日新聞317日、TPP賛成53%)に比べ、TPPに懐疑的な人たちが増えているようです。それでも、まだまだTPPの危険性が国民のなかに浸透しきっていません。政府やマスコミは、TPP参加が自由貿易に賛成することであり、反対が自由貿易反対であるかのように宣伝しますが、日本が充分に解放された市場になっていることは、毎日生活するなかで実感できているのではないでしょうか。

TPP交渉は労働・電気通信・通関・環境・金融など24の部会で構成されており国民生活のすべてに影響が及びます。米国の超国家企業群と米国政府の要望は、インタネットから情報が手に入ります。日本の10年後が分かると言われた「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」は米国の日本大使館のHPで見ることができますし、在日米国商工会議所が日本政府に宛てた意見書も閲覧することができます。これらの文書の内容がTPP交渉(個別交渉)で議論されていることは間違いありません。自分が担っている公務がTPPによりどのような影響を受けるのか、そして利用者である国民にどのようなしわ寄せが生じるのか、このことを事前に検証し、周りの人たちに知らせていくことが、今、私たちにできる反対運動ではないでしょうか。友人、知人に自分の言葉でTPPの危険性を知らせ、TPP反対の世論を大きくしましょう。

幸い、参議院選挙で反TPPを訴える議員も一定数誕生しましたし、JAや医師会も反対を表明して運動をしています。また、全国318人の弁護士がTPPに反対する弁護士ネットワークを発足させ、安倍首相に申し入れをおこなっています。毎週金曜日の脱原発の国会前行動や反貧困ネットワークの取り組みなど、いのちと暮らしに直結する問題で国民的な反対運動も盛り上がっています。口コミとともに、ウォール街ではじまったオキュパイ運動のように、事実を伝え99%の人たちの意識改革を促すためフェイスブックやツイッター、ユーチューブ等を活用して世論に訴えかけてTPPを押し返そうではありませんか。TPPは条約の一つですから、TPP交渉がまとまっても国会での承認が必要になります。国会議員に働きかけて、国会承認に持ち込ませない取り組みも求められます。

                          11月1日入稿

国公共済会だより10月号に掲載しました。10月4日入稿なので、直近の状況と齟齬がありますが、そのまま転載します。


安部首相は101日、消費税を来年4月から8%に引き上げることを決定しました。その記者会見の中で「消費税収は社会保障にしか使いません」と明言しました。消費税の3%増税で2014年度は約5兆円、それ以後は年間約8兆円の増収が見込まれています。社会保障4分野で使われる予算は、国と地方を合わせて約38兆円といわれています。消費税の増収分を社会保障分野に充てると相当の改善が期待できるところです。

ところが、一向に社会保障の充実策は聞こえてきません。それどころか、復興法人特別税の廃止や法人税の実効税率の引き下げ、東京五輪や防災関連のインフラ整備など大企業優先に使おうとしています。良い方に考えれば、企業の負担を軽くして企業のもうけを増やし、雇用や賃金の改善につなげて、家計を下支えしようということかもしれません。しかし、これまでも政府は様々な企業減税を行なってきましたが、減税分は株主配当や内部留保にまわり、雇用や賃金の改善にはつながりませんでした。企業減税分が企業価値を高める(内部留保を増やす・配当を増やす)ことに使われることは、当の安倍首相がよく知っているようで、925日にニューヨーク取引所で「日本に帰ったら直ちに成長戦略の次の矢を放つ。投資喚起のため大胆な減税を断行する」と演説し「バイ マイ アベノミクス」と見得を切ったのは、みなさんご存知のとおりです。

さて、本題のTPP交渉ですが、年内決着を目指したい米国の主導で、インドネシアで開かれているTPP首脳会議で「大筋合意」をめぐって大詰めの交渉がおこなわれています。その一方、関税交渉は大幅に遅れており、二国間交渉を積み上げてから全体で議論するため実際の決着は越年が確実視されているようです。関税の撤廃が大きな目標であるにも関わらず、その関税の決着を待たずに何をもって「大筋合意」とするのか理解に苦しみます。いずれにしても、米国の都合が優先され、それに無批判で追随する日本の外交姿勢がここでも鮮明になっています。

そもそも、FTATPPなどの二国間・多国間の経済協定や経済連携が行われるようになったのは、貿易に関する国際的機関であるGATT(関税および貿易に関する一般協定)やWTO(世界貿易機関)の交渉では先進国と新興国との対立が激しく、話し合いがまとまらなかったことにあります。GATTの後を受けたWTOの交渉は、中断・再開を繰り返した結果「交渉を継続するものの、近い将来の妥結を断念する」という議長総括が行われ、事実上の停止状態となりました。WTOが暗礁に乗り上げたため、お互いの立場が理解できて合意しやすい2国間・少数国間のFTA(自由貿易)やEPA(経済連携協定)が結ばれるようになったのです。

 米国の多国籍企業は、FTAEPAを利用して利益を最大限にすることを追求してきました。後から結ばれる協定ほど、前の協定よりも企業の利益が増すように研究され、その結果、米韓FTANAFTでは、アメリカの多国籍企業が相手国の主権や法律、公共の福祉さえも凌駕して、自由に企業活動をおこなえるようになっています(このことから「超国家企業」と呼称)。そうして世界を舞台にして自由気ままに経済活動をおこなって得た利潤は、超国家企業の持ち主である株主に配当として分配されることになりますから、今でも1%が栄え99%が犠牲になっている状況が、TPPを契機にますます加速し、1%に富が集中することになります。

安倍首相は第183回国会の施政方針演説で、日本を「世界で一番企業が活躍しやすい国」にすると言いました。そして、今月提出予定の国家戦略特区関連法案に労働者の首切り自由に道を拓く「経済特区」があり、混合診療を自由に行える「医療特区」も含まれているようです。これらの「特区」がTPPの先取りであることは、もうお分かりのことと思います。TPP問題をはじめ、原発再稼動、秘密保全法、集団自衛権などの全ての根源は、超国家企業の利益を最大化することにあると言っても過言ではないと思います。

今こそ、圧倒的多数である99%が手を取り合うときではないでしょうか。相手は、地球規模で活動を展開する超国家企業です。日本国内はもちろんのこと、世界の99%の人たちと結んで、超国家企業と対峙する必要があります。