「昭和元禄落語心中」について書きますと、たくさんのコメントが寄せられます。その理由が、昨日の回で、改めて理解できました。
第六話、「心中」です。これは凄かった。ドラマのキーポイントになる回でした。
岡田将生扮する菊比古は、山崎育三郎扮する助六の居場所を知り、大政絢扮するみよ吉の故郷の温泉地にたどりつきます。
菊比古は、助六に落語の世界に戻ることを勧めます。自堕落な生活を変えさせ、仕事につかせ、一緒に働いて借金を返済させます。菊比古は、真剣に助六に、名跡である有楽亭八雲を継がせるつもりでした。
菊比古は、助六の娘である小夏に、「野ざらし」をせがまれますが、そこに助六が現れ、二人で「野ざらし」を演じます。この時の菊比古は、ぞくっとするほど色っぽいのです。二人の掛け合いも絶品でした。
旅館の主のはからいで、温泉旅館の大広間で落語二人会が決まります。菊比古は先輩である助六にトリを譲りますが、そこで助六は、「芝浜」を演じます。それはまさに、いまの助六の姿でした。二人会は、大成功でした。
助六も、東京に戻り、落語に復帰することを決意しますが、みよ吉は反対します。みよ吉は、やはりかつての恋人である、菊比古のことが好きでした。
そこから先は、ドラマを観てもらうしかありませんが、その後の岡田将生の活躍を予見するような素晴らしさです。
何より、落語のシーンも見事です。これは、山崎育三郎もそうなのですが、きっちり本職に指導を受けていることがわかります。このドラマのように、落語を役者が演じる場合、普通はもっと短いものです。しかし、この作品においては、かなり長めなのです。しかも、演目も多い。
みよ吉との絡みも、実に色っぽい。岡田将生は、元々端正な顔立ちをしておりますが、そこに色気まで加われば怖いものなしです。
あの顔立ちでありながら、「悪人」のように、ジゴロのような悪役も演じております。最近の「ゴールドボーイ」もそうでした。それでいて、「大豆田とわ子と三人の元夫」のような、面倒くさい理屈をこねるキャラも平気でこなします。
近い打ちに、大河ドラマでも主役か、それに近い役で起用されるでしょう。私は、再来年の「逆賊の幕臣」だと思っております。以前も書きましたが、彼の勝海舟が見てみたいと、心から思います。
このドラマで、江戸弁もいけることがわかりましたので。