まいりましたね。
倉本總さんの追悼番組として、「北の国から 83冬」が放送されました。
私は、リアルタイムで全て見ているはずなのですが、この作品に関する記憶が、ほとんど残っておりませんでした。そして、見終わった感想は、ただ一言、まいった、です。
田中邦衛扮する、黒板五郎とその家族のその後を描いたものですが、新たに登場したのが、笠智衆と風吹ジュンです。
笠智衆は、かつて富良野にいて、豆で大儲けした沢田松吉でした。放蕩の限りを尽くして、財産どころか借金を残して、ひとりで逃げたのですが、東京で成功をおさめて、故郷に戻ってきたというのです。
そんな時、林美智子扮する五郎の幼馴染のみどりが、五郎を騙して借金の連帯保証人にしていたことが発覚します。700万という金額は、五郎には到底払える額ではありません。
松吉は、自分の山を売って払えばよいと申し出ますが、風吹ジュン扮する孫娘の妙子は、そんなものはとっくに人手に渡っている。要するにボケていると言うのです。
この頃の倉本總が、いかにのっていたかが、よーくわかります。富良野の冬の厳しさ、農家の厳しさ、いささかの妥協も美化もありません。
そして、笠智衆が神がかっております。これは、「幻の町」にも通じているのですが、もはや狂気です。しかも、大友柳太朗扮する笠松の爺さんとの共演まであるのです。既に亡くなっている、へなまずるいと言われた、笠松の爺さんとです。
また、純と蛍を演じている、吉岡秀隆と中嶋朋子のふたりが、ただの子役ではなく、あれだけの役者たちのなかで、きちんと芝居をしているのです。
田中邦衛扮する五郎は、とにかく甘い。どこまでも甘い。みどりに騙されても、きつくあたれず、借金の肩代わりなど、できるわけがないのに、まわりの援助を断る。土地を取られれば、自分はともかく、ふたりの子供が路頭に迷うのにです。
このクオリティが、倉本總の普通だったのです。これからフジテレビは、「北の国から」のスペシャルを、定期的に放送すべきです。