このブログの熱心な読者である、annaさんお薦めの、「おとうと」を、ようやく見ることが出来ました。
監督、市川崑、脚本、水木洋子、撮影、宮川一夫。音楽、芥川也寸志、日本映画が好きな方で、この座組でそそられない人はおりません。
しかも、きょうだいが岸惠子と川口浩、その両親に森雅之と田中絹代です。レストア版といって、映像も極めてきれいです。
岸惠子扮する、男勝りの姉、げんと、川口浩扮する、屈折した弟、碧郎。彼は、次々と問題をおこし、その都度げんは、田中絹代扮する、義理の母から嫌味を言われます。
森雅之扮する父は、寡黙な作家で、普段は何も言いませんが、子供ふたりに深い愛情を持っております。
岸惠子は、この時28歳。まあ、とにかく綺麗です。輝いております。気が強く、弟ともしょっちゅう喧嘩をしておりますが、やはり放ってはおけません。
水木洋子の脚本が、飛び抜けております。言葉のひとつひとつに、無駄が全くありません。伊達に、成瀬巳喜男や今井正など、名だたる名匠の脚本を手掛けておりません。
名手、宮川一夫のキャメラは、光と影のバランスが絶妙です。これはもう、映画を観なければわかりません。
そして、市川崑です。あれだけの映画を、1時間半にきっちりおさめる。昭和35年の作品でありながら、実にスタイリッシュなのです。しかも、あのラスト!!
あのラストを、今から65年も前にやりますか?さすがに驚きました。私など、思わず声が出ました。
annaさん、いい映画を教えて頂き、ありがとうございました。
※思えば、田中絹代は、私は晩年しか知りませんでした。この映画において、クリスチャンの継母という、非常に癖のあるキャラクターを演じておりますが、さすがとしか言い様がありません。
もうひとつ。
映画のなかで、まるよしに万年筆を直しに行くという台詞がありました。恐らく、今の丸善のことでしょうが、当時はまるよしと読んだのですね。