倉本總さんは、ドラマや映画の脚本だけでなく、様々な本も刊行しております。


ほとんどが自伝かエッセイなのですが、このエッセイがすこぶる面白い。そして、自らの体験が、結構ドラマになっているのです。


たとえば、「6羽のかもめ」で、高橋英樹扮する若手俳優は、スナックで居合わせたヤクザに気に入られ、自宅に連れていかれます。


この時、ヤクザを演じたのが室田日出男で、高橋英樹扮する大介の目の前で、子分をボコボコにするため、当時フジテレビには、ドラマに本物のヤクザを使うのかと、抗議が殺到したそうです。


このエピソードは、ショーケンこと萩原健一が、実際に遭遇したことがモデルになっており、家に無理やり連れて行かれた彼は、フルボリュームで「兄弟仁義」を聴かされたのだそうです。


ショーケンといえば、桃井かおりとふたりで、脚本の漢字で悩んでいたそうです。


「故郷に錦を飾る」、この錦がふたりとも読めない。


散々悩んで、ショーケンが、「ワタじゃねえか」と呟いたそうです。故郷にワタを飾る。なかなかです。


倉本さんは、とある民放プロデューサーと話していたところ、某広告代理店には、役者の潜在している数字が全てインプットされており、たとえば吉永小百合が出演するから、プラス5%、共演が北大路欣也ならプラス3%と、合計して視聴率を割り出し、それがほぼ当たるという話題になりました。


そこで、倉本さんが、脚本家にもそういう数字があるのかと尋ねますと、プロデューサー、すかさず答えたそうです。


「ありますあります。倉本さんはですね、マイナス5%」。


こんなお話ばかりですが、どれも実に面白い。本は全てとってあるので、改めて読み直すのも良いと思っております。