まずは、松本清張原作、野村芳太郎監督の、「張り込み」を見ました。高峰秀子が主演だと思い込んでいたのですが、若き頃の大木実でした。
何が驚いたかと申しますと、タイトルが出るまで、10分ほどあり、数人の主要人物と主要スタッフだけがクレジットされ、エンディングで初めて全てがクレジットされるのです。今では普通のことですが、今から半世紀以上前なのです。しかも、キャスト、スタッフと記されているのです。
大木実扮する柚木と宮口精二扮する下岡という、ふたりの刑事が、強盗事件の犯人を追って、かつての恋人、さだ子が住んでいる佐賀に行き、彼女の家の向かいの旅館から、ずっと張り込みを続けます。犯人が田村高廣扮する石井で、さだ子が高峰秀子です。この面子は、パーフェクトです。
彼女は、銀行員の後妻なのですが、夫はとんでもない吝嗇家で、子供がふたりいるにも関わらず、生活費を一日1000円しか渡しません。ふたりの刑事は、彼女が何の楽しみもない、極めて平凡な毎日を送っていることを、張り込みで知ります。
さだ子の張り込みを続けているとき、柚木は、高千穂ひづる扮する、自分の恋人を思い出しておりました。恋人の家も貧しく、そのことを引け目にして、彼女は結婚をためらっていたのです。
張り込みは淡々と行われ、ストーリーに大きな起伏があるわけではないのですが、モノクロの画面は緊張感にあふれ、全く退屈いたしません。
ここから15年ほど後に、野村芳太郎は、同じ松本清張の、「砂の器」を監督いたします。お薦めです。
※何せクレジットがエンディングなので、誰が出てくるか皆目わからなかったのですが、私が確認出来ただけで、浦部粂子、菅井きん、藤原釜足、多々良純がおりました。他にも大物が出ていたようなので、改めて確認いたします。