昔から、芸人という職業は、賤業と言われておりました。もっとも、そういう意識を持っていたのは、ビートたけしあたりまでかも知れません。
明治大学まで入りながら、ドロップアウトして、ストリップ小屋で働いていたのですから、当時のコンプレックスは相当だったことでしょう。
それが今では、将来の目標に、お笑い芸人になることだと、大真面目に公言する若い方々がいらっしゃるくらいですから、世の中変わったものです。
何せ大卒は当たり前で、早稲田、慶応どころか、東大、京大卒までいるくらいです。もっとも、いくら高学歴でも、成功できるかどうかはわからないのが、この世界です。
私が知っている芸人の方々は、まあ、まともではありませんでした。とてもではありませんが、サラリーマンなど勤まりようがない、芸人にならなければ、あっち側にいくか、あっち側の人達に、追い込まれるしかないような方ばかりでした。
今の芸人で、その匂いを感じるのは、空気階段の鈴木もぐらや、錦鯉の長谷川まさのり、バッテリィズのエースあたりで、カタギの姿など想像出来ません。
先程、芸人のいじめについて書きましたが、今はともかく、昔なら当たり前のことです。だって不健全極まりない世界なのですから。
以前、渥美清さんのインタビューを、何かで読みましたが、いわゆる大御所の先輩芸人(実名でし)から、嫌がらせを受けていたそうです。ただ、渥美さんも、寅さんで国民的俳優になりましたが、公言している通り、元々は一歩間違えば、あちら側にいたかも知れない方です。
先輩であろうが、やる時はやりますよと、さらりと仰っておりました。そういうことです。
また、今とちがって、ライブなんてかっこいいものではありません。地方営業、すなわちキャバレーやドサ回りですから、当然その筋の方々とも付き合いが出来る。
お座敷がかかれば、喜んで行くと言っておりました。何せ金になるし、うまい飯も食え、酒も飲ませてくれます。
これは昔書きましたが、ある漫才コンビのひとりが亡くなり、バラエティのプロデューサーが、葬式に行ったところ、相方が棺にすがりついて泣いていたそうです。
ところが、参列していた方々が、あらかた帰ったところ、ケロッとして故人の悪口を言い始めたそうです。そのプロデューサーは、だから芸人の葬式は行きたくないとボヤいておりました。そうです。まともではないから、社会不適合だから芸人を目指したのです。
勿論、今は遥かにクリーンな世界になったのでしょうが、元々がそんな世界です。いじめでとやかく言うくらいなら、カタギになるべきです。