Netflixの「地獄に堕ちるわよ」ですが、三日で見終わりました。
何せ題材がキワモノのなかのキワモノ、細木数子ですから、刺激的な描写だらけと思っていたのですが、意外なことに、つくりは極めてオーソドックスです。
戸田恵梨香扮する数子は、戦争で父や兄、家までも失い、焼け野原のなかから、文字通り裸一貫で、のし上がっていくお話で、何度も騙されることで、逆に騙すほうにまわります。
伊藤沙莉扮する美乃里は、デビュー作しか発表出来ていない作家ですが、数子の伝記を書くことで、のし上がろうとします。最初は、数子の苦労話に感銘を受けるのですが、次第にその胡散臭さに気付きます。
なんと言っても戸田恵梨香です。見ているほとんどの人は、実物の細木数子を知っております。当然、あんなに痩せていないし、何よりあんなに美形ではないので、批判が起きることはわかっております。
しかし、十代から六十過ぎまでを、見事に演じ分け、見続けているうちに、彼女が細木数子にしか見えなくなってまいります。これは、大したものです。
やくざの罠にはめられ、財産を奪われ、愛人にされても、彼女はあきらめません。ただし、島倉千代子には、彼女の無知につけこみ、自分がやくざにされた同じことをして、とことんお金をむしり取ります。そのえげつなさは、その当時のパートナーである、生田斗真扮するやくざの総長、堀田ですら、たしなめるほどでした。
感心したのは、音楽の使い方で、当時の歌謡曲だけでなく、主にアメリカのポップスが、実に効果的でした。
そしてセットです。恐らくCGも多用されているのでしょうが、当時のまちの再現度が素晴らしい。これ、お金が相当かかっております。廃虚から次第に復興し、華やかさを取り戻していく東京が、リアルに描かれておりました。
主演のふたり以外は、正直そこまで豪華な面子というわけではありません。しかし、生田斗真、富田靖子、石橋蓮司、中島歩、三浦透子、高橋和也、杉本哲太、余貴美子、田村健太郎、奥野瑛太、市川美和子など、実力派ばかりで、適材適所です。
特に、数子の弟を演じた、細川岳がいい。家族のなかで、唯一ずっと数子と行動し、苦楽をを共にするのですが、最後の最後に袂を分かちます。そんな弟を、何十年も演じ分けておりました。
ただ、です。
ドラマとして、実に良く出来ておりましたが、彼女の境遇が、その後の生き方を決定づけた様な描き方でした。次第に悪どくなっていくのも、様々な男達に騙された故に、強かになっていったというように私には感じました。
「極悪女王」のときもそうでしたが、本人や関係者がまだ存命中の場合の、あれが限界なのかも知れません。
ドラマでも取り上げられていた、週刊現代の特集を書いていた溝口敦さんが、このドラマのことを、一般の視聴者にはちょうどいいと表現しておりましたが、実物の彼女は、もっとえげつなかったのだと思います。
Netflixは、村西とおる、ダンプ松本、細木数子と、強烈な題材を選んでまいりましたが、次は誰でしょう?間違いなく、この路線は続くと思います。
※笠松将と中村優子は、初登場のシーンは気付かないほどでした。それと、脚本の真中もなかですが、ドラマを見ていて、ある方の名前が思い浮かびました。ただ、その方ならば名前を変える理由がないので、恐らく違うのでしょう。