私は、お酒が飲めません。いわゆる下戸です。


大学時代や、社会人になってからも、何度となく飲みに連れて行かれましたが、とうとうダメでした。父は大酒飲みでしたが、母親が奈良漬けでも酔っぱらうほどの下戸で、もろに遺伝したようです。


ただ、酒場は大好きで、特にお酒のつまみになるような食べ物は大好物でした。かつて、ある理由で、全国津々浦々を回りましたが、その土地でしか味わえないようなものは、素晴らしいものばかりでした。


思い出深いのは、岡山です。太田和彦さんという方が、居酒屋に関する本をいくつか出しており、そこに出ていたお店を訪ねたのですが、様々なところを訪れたわたしが、二日続けて行ったのは、福井の蕎麦屋とそこだけです。


とにかく、何を食べても美味しい。明石のタコや、瀬戸内の魚の素晴らしさを知り、だし巻きなど絶品でした。


ただ、初日に伺った時、カウンターの奥にいた二人組は、どう見てもその筋の方々でした。たまたまかどうかはわかりませんが、そういう方々が通っているお店だったのかも知れません。


一緒に行った先輩ともう一軒行き、その二軒目の店のお通しでもタコが出たのですが、その先輩が、「どこで食べても、タコが美味しいわけではないんだね」と、ぼそっと言ったのを、今も覚えております。


表町というところにあったその店も、今は閉めたと何かで知りました。値段も決して高くないのですが、私の地元と同様で、良い店でもなくなってしまうのです。