「冬の運動会」、ご覧になりました?
やはりこれは、向田邦子の傑作です。もう、面白いなんてものではありません。
この、半世紀前のドラマに、今放送されているもので、勝っているものがあれば教えてほしい。それくらいの完成度です。まだ、四話ですが、早く続きが見たくて仕方ありません。
もうね、志村喬が良くって良くって。藤田弓子扮する加代のアパートで、どてらを着て毛糸をほどくのに、両手を貸している謙吉が絶品です。
根津甚八扮する菊男は、いしだあゆみ扮する日出子を、家族が留守のときに、自宅に連れていくのですが、そこに家族が次々と帰ってまいります。こうなるのがドラマです。
隙をついて、菊男は日出子を帰そうとしたところ、謙吉と鉢合わせしそうになります。しかし、謙吉は気付かず無事に家から脱出します。
ほっとして菊男は家に戻るのですが、床に日出子のピアスが落ちており、木村功扮する父親の遼介が踏んづけてしまいます。
その時、謙吉は、また会社の連中のいたずらだと言って、ごまかしてくれるのです。そう、謙吉は、日出子に気付いていたのです。何も言わず、菊男のことをかばってくれたのでした。
その飄々とした雰囲気がたまりません。とにかく見てほしい。志村喬、木村功、加藤治子、市原悦子、大滝秀治、赤木春恵、そして根津甚八といしだあゆみまで、もう誰一人この世にいないのです。名だたる名優たちが、向田邦子の脚本によって素晴らしい演技を見せる、こんな贅沢がありますか?
演出の服部晴治は、大竹しのぶの最初のご主人で、早くに亡くなりました。これがまたいい。若い方々にはわからないかも知れませんが、素晴らしいドラマです。