世間一般では、昨日までがお盆休みですが、私は、仕事の関係で、今週の半ばからお休みです。年末年始と違い、そこまで長い休みではありませんが、昔の仕事を思えば、天国です。
さて、二夜連続で放送された、「シミュレーション」ですが、1時間の前後編ではなく、1時間半くらいあってもよかったほどの濃さでした。
本物の政府の前で、日本の若い頭脳を集めた疑似内閣が、アメリカと開戦した時のシミュレーションを発表いたします。それは、あまりに悲惨なものでした。
そのシミュレーションを、真剣に受け止めるものは、ほとんどおりませんでした。ただ、最も対極にあると思われた東條英機は、日露戦争を例にとり、数字が全てではないと反論しますが、実は最も深刻に、そのことを受け止めていたのです。
陸軍も海軍も、予算を使うことに腐心しており、すでに夏用の軍服を用意しているところまでありました。開戦ありきで、何もかもが進んでいたのです。本物の総理大臣である、近衛文麿は、とっとと退陣いたしました。
新聞は、開戦を煽り、やむなく総理大臣になった東條英機ですら、腰抜けと批判され、官邸までのルートを、テロを恐れて毎日変えるほどでした。
結局、戦争が始まり、待っていたのは、疑似内閣が予想した悲惨な未来でした。しかも、それはほぼ当たっており、さらに、予測にはなかった原爆まで投下されたのです。
ラスト、池松壮亮扮する宇治田は、焦土に立ち尽くします。そこに戦地に行った弟が現れ、宇治田は、幼い姪の初子を守れなかったことを謝罪します。
しかし、おそらくですが、弟も幻です。カメラが引いたとき、弟はおりませんでした。いや、二階堂ふみ扮するふたりの妹も、ドラマのナレーションをつとめてとりましたが、彼女もこの世にいるかはわかりません。
あの、池松壮亮の、ラストの表情が全てです。昨年の、岸部一徳のドラマに続き、NHKはいい仕事をいたしました。
※最も強硬派だった、佐藤隆太扮する瀬古がいい。様々なデータを用いて、冷静な分析をする宇治田らを、次第に理解し、遂には彼らの味方になるのですが、本物の内閣の前で、彼らを擁護したとき、國村隼扮する上司に、「これでお前も最前線に飛ばされる」と囁かれます。そんなことは、百も承知なのです。