WOWOWで、「あんのこと」が放送されました。お正月に見て以来です。


改めて見直しましたが、本当に救いのない映画です。しかし、やはり最後まで見てしまいました。とにかく河合優実が圧倒的です。


河合優実扮するあんは、覚醒剤中毒で、売春を繰り返して家族を養うことを、毒親に強制されておりました。


売春の客が、クスリで中毒を起こしたことで、あんは補導され、そこで佐藤二朗扮する刑事、多々羅と出会います。多々羅は、あんを何とか更正させようと、自身が関わっている、サルベージという更正機関に連れていきます。


あんはそこで、稲垣吾郎扮するライター、桐野と知り合います。桐野は、ある思惑があって、サルベージを取材していたのですが、改めて見直すと、そのことは、かなり早くから伏線が張られておりました。


あんは、字もろくにかけないのですが、介護の仕事に拘ります。それは、母親の暴力から、唯一庇ってくれたのが足の悪い祖母で、その面倒を見てやりたいからでした。


桐野の紹介で、介護施設で働きだし、シェルターのアパートに入ることで、親からも隔離され、夜間学校に行き、一生懸命勉強も始めました。その時のあんは、希望しかありませんでした。


それが、コロナでガタガタになります。非正規雇用であるあんは、自宅待機になり、多々羅はあることで逮捕されます。しかも、きっかけは桐野の記事でした。


なまじ希望の光を浴びてしまったがために、余計に高いところから叩き落ちてしまいました。これはしんどい。


そして、河合優実です。


オープニングからの、感情すらない虚無の眼差し、途中の希望に満ちた眼差し、そしてラスト近くの絶望の眼差し、こんなことを演じ分けられるのは、河合優実以外には考えられません。


だからこそ、余計に切ない。ラストも、過剰な描写は一切ありません。多々羅と桐野、ふたりの悔恨だけが残ります。どん底から引き上げたばかりに、かえって深い絶望をしてしまったのではないのかと。

 

映画を見終わり、ひとつ夢が産まれました。


坂元裕二が、河合優実と組んだら、どんなキャラクターを演じさせるのだろうと。


松岡茉優、広瀬すず、有村架純、吉岡里帆、満島ひかり、みんな坂元作品を経験することで、大きく飛躍いたしました。


映画でも配信でもいい。これはぜひ、見てみたい。坂元ワールドには、彼女は間違いなくはまります。


わたしは、すでに何らかの企画は、動いていると勝手に思っております。これ以上の組み合わせは、いまの日本にはありません。