「チョッちゃん」は、実に朝ドラらしい朝ドラですが、役所広司や世良公則など、当時としては、かなり斬新な面子を揃えております。


そのなかでも、私が一番びっくりしたのは、川谷拓三が、佐藤慶を差し置いて、クレジットの一番最後、いわゆるトメだったことです。


東映やくざ映画を見続けていたものとして、これは大変感慨深いことでした。


いわゆる大部屋出身で、ずっと斬られ役でしたが、深作欣二監督が、「仁義なき戦い」などで、同じ斬られ役でも、かなり目立つ扱いで起用し、ずったずたに殺されました。


そんな川谷さんに着目したのが、倉本聰さんで、「前略おふくろ様」に大抜擢したのです。しかも、盟友、室田日出男とふたりでです。


とびのトシオさんは、まさにはまり役で、室田日出男の半妻とのコンビは、抱腹絶倒でした。当時の東映のトップクラスだった梅宮辰夫も出ており、連ドラには初出演に近いものでしたから、当時の東映のギラギラした感じが、画面から溢れており、圧倒的な支持を得たのです。


一度、今は亡き母が、偶然川谷さんと遭遇したことがあります。私の地元で、映画のロケをしていたそうで、信号待ちをしていたところ、向こう側に川谷さんだとすぐにわかったそうです。


母は、「こんにちは、いつも見ていますよ」と話しかけると、あの独特な人懐っこい笑いかたで、嬉しそうに「ありがとうございます」と答えたそうです。


ただ、頬のあたりから、髭で覆われており、母は役作りだと思ったそうですが、川谷さんの訃報が届いたのは、それから数ヶ月先でした。恐らく、癌で痩せたことを隠していたのでしょう。


下積みが長かったので、もう少し長く活躍してほしかったと、当時は思ったものです。世の中に知られるようになってから、20年くらいのことでした。


※川谷さんの白眉は、「県警対組織暴力」のチンピラです。菅原文太と山城新伍の刑事に、徹底的いたぶられるのですが、川谷さんは、本気でやってくれとふたりに懇願したそうです。


わずか数分の出番ですが、これぞ川谷拓三です。