今まで、この傑作を、何度見たことでしょう。


大林宣彦監督の、「転校生」が、WOWOWで放送されました。主演は、尾美としのりと小林聡美。当時は17歳でした。


男女の身体が入れ替わる元祖といえる作品で、階段から転げ落ちることで入れ替わるというのも、ここからだと思います。


改めて見ると、やはり色々忘れております。オープニングがモノクロだということも、完全に忘れておりました。尾道の風景が、とても綺麗だったことを覚えていたので、抜け落ちておりました。


小林聡美扮する斎藤一美が、尾道に転校してまいります。そこには、かつて幼稚園で一緒だった、尾美としのり扮する、名前が一字違いの斎藤一夫がおりました。


ふたりが、お寺の境内の階段から転げ落ちることで、身体が入れ替わるのですが、その直後の踏み切りのシーンから、カラーになるのです。


さらに、これも完全に忘れておりましたが、身体が一美になってしまった一夫は、自分の部屋で鏡を見て、初めて自分の身体でないことに気付きます。


その時、身体のある場所を確認するのですが、当時17歳の小林聡美に、私達はびっくりします。確かに、そのシーンは必要です。必要ですが、よくやったと思います。


入れ替わってからの、尾美としのり、小林聡美、ふたりとも実によくやっております。歩き方、話し方、何もかも、尾美としのりは女の子に、小林聡美は男の子になりきっております。


改めて見ると、絶妙なキャスティングです。当時はふたりとも、メジャーな存在ではなかったのですが、これは大林監督の慧眼です。


ふたりとも、間もなく還暦なのですが、その後ずっと第一線で活躍しているのも、わかる気がいたします。なぜなら、こんな難しい役は、そうはないからです。延々と、中身が男の子の女の子と、中身が女の子の男の子を、演じ続けなければならないのですから。


ふたりの担任が、志穂美悦子だったり、一夫の母が樹木希林だったことも、忘れておりましたが、ラストシーンだけは、鮮明に覚えておりました。


私は、このラストが大好きで、自分ではそんな記憶はないのですが、家族に何度も何度も話していたそうです。あの、スキップを踏んだあとの小林聡美の表情は、この映画の傑作たる所以なのです。私にとっては、日本映画において、三本の指に入る名ラストシーンです。


この映画以降も、数々の入れ替わりの作品が作られましたが、この作品を超えたものはありません。正真正銘の傑作です。


※確か私は、当時、吉祥寺あたりの名画座で、「蒲田行進曲」との二本立てで、初めてこの映画を見ました。


お目当ては、「蒲田行進曲」のほうで、正直、「転校生」は、全く期待しておりませんでした。と、いうのも、私は、「ハウス」も、「瞳の中の訪問者」も見ていたのですが、独りよがりのような作風が強く、あまり好みではなかったからです。しかも、主演のふたりは、当時は無名です。


それが、映画を見て、ひっくり返りました。ATGですから、お金はかかっておりません。しかし、それでもこんな名作が産まれるのです。