「しあわせは食べて寝て待て」、いいですねえ。


このドラマは、本当に何にも起きません。桜井ユキ扮するさとこが、金銭的理由から団地に引っ越し、隣に暮らしている、宮沢氷魚扮する司が作る薬膳料理に感化されるのですが、司は、さとこの病気のことを知り、教えることを拒みます。


と、いうのも、かつて司は、隣人に薬膳を教えたのですが、その隣人は、薬膳を過信してしまい、常用している薬を飲まなくなってしまい、家族に激怒されたからなのです。それから司は、持病を持つ人には、薬膳を教えないことに決めていたのでした。


それでも、少しずつ打ち解けていき、さとこは、旬のもので、色つきの野菜を食べることを覚えます。


梅や、とうもろこしなど、普段なら気にしないようなが目につくようになり、梅シロップなどに挑戦します。


食べるものを選び、食べるものを作り、それを食べる。当たり前のことなのですが、健康に気をつけて、彩りを考えると、料理は俄然楽しくなります。


ある日、さとこは、加賀まりこ扮する鈴と司に、夕食を招待されます。その日はなんと、すき焼きでした。


これは、見ているほうは、さすがにつらい。最初に肉だけを焼き、そのあとに野菜を食べるクラシックな方法なのですが、これがもう美味しそうなんてものではありません。


潔いほどなにも起きないのですが、見ているほうは全く退屈しないのです。それは、さとこの日常を、丹念に丹念に描いているからであり、そこらへんのグルメドラマとは、一線を画しているからです。


それともうひとつ、若手が多いなかで、加賀まりこはさすがの存在感です。大ベテランですから、そこにいるだけでも充分なのですが、さとこや司を見守る眼差しがいい。


考察ばかりでは、疲れてしまいます。こういうドラマも必要です。