この間、「極悪女王」を見ていて、あることを思いだしました。私の大学時代の友人のことです。


一度、書いていたらごめんなさい。私たちは、とある会社を通じて、プロレス会場でバイトをしておりました。


これは、当時の私らには、極めてわりのいいバイトでして、レスラーが入退場してくるときに、ファンがたくさん寄ってくるため、人垣を作ってレスラーを守る、ただそれだけで、今から40年以上前にも関わらず、五千円もくれたのです。しかも、実働はたかだか二時間程度で、弁当もつき、レスラーの出入りがない時は、リングサイド近くで、試合を見ていられるのです。


で、私の友人は、その日は外人レスラーの花道担当だったのですが、よりによってタイガージェットシンの入場にあたってしまったのです。


タイガージェットシンといえば、入場の際には、サーベルを持って観客を追い回すのがルーティーンになっていたのですが、たまたまその方向に、友人がいたのです。


襲われちゃったのですね。しかも、確か武道館か国技館のビッグマッチで、テレビの中継が入っておりました。


彼はシンに襲いかかられ、サーベル、といっても剣のほうではなく、つかのほうで襲われたのですが、そこはプロです。素人には絶対に当てないのだそうです。


けれど、目の前のカメラを、友人は意識してしまいました。シンが一生懸命どついているふりをしているのに、平気な顔をしているわけにもまいりません。友人は、本当にどつかれているふりをして、悲鳴をあげました。


プロの悪役レスラーとは、こういうものなのです。ちなみに、友人は、テレビの放送を楽しみにしておりましたが、全てカットされておりました。