今から半世紀近く前のお話です。


私の地元が舞台となった小説が映画化されることになり、当時人気のあった女優が主演に決定いたしました。


私の地元でも、ロケが行われたのですが、女優の皆さんのヘアメイクを、私の母の行きつけの美容室を使うことになりました。


そこで、母が美容師の方から、実際に聞いた話です。


その映画には、草笛光子さんが出演していたのですが、偉ぶることもなく、毎回、「お世話になります」と頭を下げるほど腰が低かったそうで、その人間性を、絶賛しておりました。


対照的だったのが主演女優で、ろくに挨拶もせず、絶えず不機嫌だったそうです。


ただ、相手が悪かった。私の地元は港町で、女性もどちらかといえば口が悪い。本人が近くにいるにも関わらず、その美容師の先生は、わざと聞こえるように言ったそうです。


「東京じゃ有名かもしれないけど、なーに、わたしゃ○○なんて女優、初めて聞いたわ」。


その時、その主演女優は、これ以上ないほど顔が真っ赤にふくれて、美容師の先生を睨み付けたそうです。


あれから半世紀近く経ち、草笛光子さんは、今も現役で、主演の映画すら作られております。一方、当時人気のあった主演女優は、まだ現役ですが、すっかり露出は減りました。


大女優とは、こういうものなのですね。